双子生産の確率6割超えを達成! ~ 追い移植による日本短角種&黒毛和種の子牛生産

日本短角種の子牛販売価格は、前年秋こそ去勢と雌を合わせた1頭当たりの平均が314,424円(税込)という高値でしたが、2年前までの10年間の平均は178,574円となっています。一方、同じ期間の県内黒毛和種子牛の平均価格は438,320円で、1頭当たりの価格差は約26万円と、同じ和牛ながら大きな開きがあります。
国は、国産牛肉の安定生産を目的として、子牛の生産費と販売価格の差を補てんする制度を設けており、日本短角種では市場価格平均が209,000円を下回った場合にその差額が補てんされるものの、長引く価格低迷に生産意欲が削がれるのは否めません。そこで、日本短角種繁殖経営の増収を図る技術を確立しようと、外山畜産研究室では、平成23年度から追い移植による双子生産を実施してきました。
まず、繁殖雌牛と種雄牛を同居させ、自然交配(種付け)を行います。自然交配実施から7日後に、黒毛和種の受精卵を移植します(追い移植)。こうして、1頭の母牛から、日本短角種の子牛のほかに黒毛和種の子牛も生産するものです。
平成25年度は、9頭の母牛に追い移植を実施したところ、6頭で双子が生まれ、双子生産率は6割を超えました。前年度までの約2割の双子率と比べると3倍に上昇したことになります。双子率が飛躍的に上昇した理由としては、母牛の状態が良かったこと、受精卵の質が良かったこと、最新の移植器具を使用したことなどが考えられました。
以上のことから、高い確率で双子生産が可能であることを実証できましたが、今後は、双子率の高度安定のための技術を検証するとともに、双子生産によって新たに生じる課題等を精査していきたいと思います。
(畜産研究所外山畜産研究室 主査専門研究員 太田原 健二)
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