この春、いよいよ現地デビュー!~ 続・高窒素鶏ふんペレット肥料の開発とその利用

ページ番号2005736  更新日 令和4年11月4日

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高窒素鶏ふんペレット肥料の写真
高窒素鶏ふんペレット肥料

 岩手県農業研究センターが、独立行政法人農業・食品産業総合技術研究機構とともに青森県の堆肥製造業者(有限会社三沢地域環境保全組合、プライフーズ株式会社)と共同で開発した高窒素鶏ふんペレット肥料が、平成25年10月に肥料登録の届出を済ませ、平成26年春から実際に農家が利用できるようになりました(農林水産省委託プロジェクト研究「気候変動に対応した循環型食料生産等の確立のための技術開発(平成21~25年度)」)。

 本肥料は、鶏ふん堆肥に尿素を混合してペレット化したもので、保証成分(%)は窒素-リン酸-カリが11-3-2と、窒素に比べリン酸やカリの含量が低いL型タイプの肥料です。窒素の大部分は尿素由来ですが、鶏ふん由来の遅効性窒素も一部含まれるため、窒素の有効成分は8.8%となります。また、L型肥料であるため、リン酸やカリが蓄積しているほ場での利用に適しています。

 水稲やキャベツでの収量は化学肥料と同等で、ブロードキャスターや畦内部分施用機でも精度良く散布することができます。一方、本肥料は粒がやや大きいため、水稲用の側条施肥機では利用できません。また、鶏ふん堆肥由来の窒素が2割程度のため、特別栽培には適用しないので注意が必要です。

 本肥料を用いた施肥体系(追肥は化成肥料を施用)では、県内の産地銘柄肥料を用いた場合に比べ、水稲で約2~5割、キャベツでは約4割ほど肥料費を低減できます(表)。流通・販売上は、15kgおよび20kg袋詰のほか、フレコン詰にも対応可能です。

 以上のように、今回開発した高窒素鶏ふんペレット肥料は、家畜排せつ物の有効利用とリン酸やカリの過剰蓄積対策に役立つとともに、肥料費のコスト低減も図れる期待の新肥料です。

水稲、キャベツの現物施肥量(基肥)と肥料費

作目

肥料(元肥)

窒素施肥量
(kgN/10a)

現物施肥量
(基肥、kg/10a)

肥料費
(円/10a)

肥料比
(%)

水稲 鶏ふんペレット1)
(11-3-2)

6+2

68

4,200

A比:53
B比:82

A(12-15-15)

50

7,900

B(15-10-10)

40

5,100

(参考)単肥体系

13+6+2

3,500

キャベツ 鶏ふんペレット1)
(11-3-2)

10+6

114

10,500

C比:65

C(12-16-12)

83

16,200

(参考)単肥体系

22+10+4

8,900

注1)窒素肥効率80%

  • 施肥:全面施肥を想定、追肥:水稲;NKC17号、キャベツ;S535
  • 肥料:A;産地銘柄肥料、B;L型肥料、C;野菜用肥料
  • (参考)尿素、重過石、塩化カリで高窒素鶏ふんと同等の3成分を施用した場合
  • 肥料費:県内主要産地の農協価格を参考

(環境部生産環境研究室 上席専門研究員 佐藤 喬)

このページに関するお問い合わせ

岩手県農業研究センター 生産環境研究部 土壌肥料研究室
〒024-0003 岩手県北上市成田20-1
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