「自然と一体」の日本短角種を実感 ~ 気象データから子牛の発育を読み解く

平成25年10月25日に、約150日の日本短角種寄託放牧期間を終えて、母牛54頭とその子牛46頭を無事に農家へお返しすることができました。
本年の子牛の発育は、最終的には前年を上回り、全体を通じた一日当たりの増体量(体重増加)は0.94kg(平成24年:0.90kg)となりました。当室では、放牧期間中、一定の間隔で子牛の体重測定を実施し、発育の状況を把握しています。それぞれの時期における日増体量は図1に示すとおりです。第3期(7月10日から8月7日まで)で、発育が大きく落ち込んでいるのが分かります。
この時期は、放牧地の草量が足りなくて、できるだけ草の生育が良い所へと牛の群れを移動させていた時期と重なりました。実は、7月に入ってから雨の日が多く(降らなかったのはたったの6日!)、降水量は平年の2倍以上となりました。一方、日照時間は当然少なく、平年の4割ほどにとどまりました(図2)。これでは牧草の生育が落ちるのも当たり前です。8月に入ってからは、晴れの日が多く、日照時間も平年を上回るようになって、牧草も元気を取り戻しました。と同時に、子牛の発育も一気に遅れを取り戻していきました。
これらのデータから日本短角種が自然と一体であること、自然の変化に適応してたくましく育つ牛であることを、改めて実感させられました。
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図1 日本短角種子牛日増体重の変動
1期:5月29日~6月19日
2期:6月19日~7月10日
3期:7月10日~8月7日
4期:8月7日~9月4日
5期:9月4日~10月2日 -
図2 藪川の降水量と日照時間
(畜産研究所外山畜産研究室 主査専門研究員 太田原 健二)
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