沿岸復興に大きな夢をのせて ~ りんごオリジナル新品種「大夢」
果樹研究室から、平成25年3月に品種登録された期待のりんごオリジナル新品種「大夢」をご紹介します。「大夢」は、「ふじ」と「ゴールデンデリシャス」を交配して得られた品種です。収穫期は11月上旬で、「ふじ」よりやや早い時期となります。3倍体品種(通常1対の染色体を3本持つ)で、果実の大きさは現地では500gを越えるものもあるなど、大玉になります。
果実の着色は、「ふじ」と比べるとやや薄めですが、糖度は14%(Brix)前後、酸度は0.45g/100ml前後で、適度な甘味と酸味があり、食味が良好です。また、果肉にはミツが入り、食べると果汁がとても多くジューシーで、肉質はシャリシャリとした食感があります。同じ晩生種の「ふじ」とは食味や外観が異なるため、バリエーションを広げた販売が行えます。また、肥大が良好であることから、「ふじ」の小玉化が懸念される沿岸部や県北部においても、産地化が期待されています。
平成25年11月6日には、宮古市崎山地区の「内の沢りんご生産組合」ほ場において、「大夢」の沿岸地域における特産品種としての普及を目指して、現地見学会が開催されました。当日は、宮古管内をはじめ久慈市や陸前高田市から、関心を持つ生産者約10名が参加し、農業研究センターおよび普及センターからの情報提供や、果実の試食、情報交換が行われました。「大夢」の市場出荷は前年に始まったばかりですが、JA全農からは「市場での評判も上々」との話があり、導入の意志を固めた生産者も多かったようです。
農業研究センターでは、「大夢」が沿岸のりんご産地振興の起爆剤となるよう、さらに着色管理技術や収穫適期の判断基準などを研究し、高品質な果実生産につなげていきます。
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大玉で食味が良い「大夢」の果実
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宮古市での「大夢」現地見学会
(技術部果樹研究室 主任専門研究員 浅川 知則)
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