被災地の園芸振興の復興を支える ~ 平成25年度農林水産部長職員表彰受賞

ページ番号2005807  更新日 令和4年11月4日

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 平成25年10月30日、岩手県庁において「平成25年度第1回農林水産部長職員表彰 表彰状授与式」が行われ、技術部南部園芸研究室(佐々木裕二室長、他3名)が「新技術実用化による復興イチゴと沿岸地域への導入」により機関表彰を受けました。

 南部園芸研究室は、食料供給基地の確立に向け収益性の高い園芸作物の振興を図るため、平成22年度から夏期冷涼な三陸地域の気象条件を活かしたイチゴの栽培技術開発に取り組んできました。イチゴ栽培で課題となる省力化、コスト低減、安定生産を解決するため、当時開発中であった「高設栽培装置及びこれを用いた高設栽培方法」(特許4900735号)の実用性を高め、県内企業(東日本機電開発株式会社)と協力して市販品「らく・エコ・ハンモック」を完成させました。さらに、未利用資源であった県産杉の樹皮を培養土に用いることで、被災した耕地土壌を使わず、かつ廃液を出さずに省力的で安定生産を可能とする岩手オリジナルのイチゴ高設栽培技術を実用化しました。

 東日本大震災津波により研究室施設(陸前高田市)が全壊した後は、センター本部(北上市)に研究の拠点を移し、被災地の農業復興に向け、県内企業や三陸地域の生産者と協力して新たに開発した技術の実用化に取組んできました。農業復興に向けた現地支援として、陸前高田市の農業生産法人(アグリランド高田)に対して、イチゴ高設栽培の導入と密接な栽培技術指導を行うなど、同法人の営農再開を支援し、園芸振興の復興モデルとなるよう取組み、生産されたイチゴは「復興イチゴ」として、平成23年度から産直やイベント等で好評を博しています。

 室員一同今回の受賞を励みとし、平成26年1月からは陸前高田市に再建される研究室に拠点を移し、より一層地域に密着した試験研究を行っていきます。

  • 受賞者一同の記念写真

    佐々木裕二 南部園芸研究室長(前列右)
    山田 修 主査専門研究員(後列中央)
    藤尾拓也 主任専門研究員(後列右)

  • 木骨ハウス内でイチゴを栽培中の写真

    再建中の南部園芸研究室(陸前高田市)に建設された木骨ハウスではイチゴを栽培中

(文責:企画管理部研究企画室 主任専門研究員 伊勢 智宏)

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