試験段階から現場での普及を念頭に ~ 黒毛和種繁殖牛冬期屋外飼養実践農家との情報交換

ページ番号2005812  更新日 令和4年11月4日

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 外山畜産研究室では、低コストな子牛生産を目指して、黒毛和種妊娠牛の冬期屋外飼養試験を行っています。

 黒毛和種の繁殖経営には、農家が所有する牛舎で繁殖牛を通年飼養する方式や、春から秋にかけて公共牧場に放牧し、冬期間は牛舎で飼養するいわゆる「夏山冬里」方式があります。いずれにしても、冬期間には、繁殖牛の飼養頭数に応じた大きさの牛舎が必要になり、規模を拡大しようとすれば牛舎を増築する費用などが嵩みます。

 牛はもともと暑さには弱いのですが、寒さには相当耐えられるという性質を持っています。そこで、この性質を利用し、冬期間も一定の頭数を屋外で飼養し、牛舎の収容能力以上の頭数を飼養する体系を目指しています。これが可能になれば、コストをかけずに所得を増やすことにつながります。

 実は、県内でもすでに繁殖牛を冬期間屋外飼養している農家がいます。平成25年10月初めに久慈市洋野町の一農家を訪ね、お話を伺ってきました。この農家では、洋野町内の水田地帯で黒毛和種繁殖牛28頭を飼っています。3年前から牛舎に隣接する牧草地0.5ヘクタールに電気牧柵を張り巡らしてパドックをつくり、一年を通じて放牧できるようにしました。

 パドック内には、乾草を置く屋根付き草架やサイレージを置く簡易シェード、冬でも凍らない水飲み場が設置されています。積雪量は約30cm、最低気温はマイナス15℃になることもあるということでしたが、牛の健康には問題なく、糞尿処理などの労力軽減にもつながっていてメリットが大きい、と話していました。

 最低気温がマイナス25℃を下回る外山とは条件が違いますが、パドックその他の設備など、冬期屋外飼養技術確立後に現場で普及する上で参考となる情報を得ることができました。

  • 乾草を置く草架の写真

    乾草を置く草架

  • パドックでくつろぐ牛たちの写真

    パドックでくつろぐ牛たち

(畜産研究所外山畜産研究室 専門研究員 佐々木 正俊)

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