国産大豆で乳牛用飼料の安定供給を ~ 大豆ホールクロップサイレージの自給飼料実用化

ページ番号2005817  更新日 令和4年11月10日

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 家畜の餌である配合飼料には、トウモロコシ、マイロ(こうりゃん)、大麦、大豆粕、ナタネ粕、フスマなどが原料として使われています。これらの原料は、エネルギー源として利用されるもの(トウモロコシなど)とタンパク質源として利用されるもの(大豆粕など)に大きく分けることができます。

 本来牛は、草を食べるだけで、エネルギー源とタンパク質源の両方の栄養を摂ることができる動物です。しかし、家畜として飼われている牛には、より高品質でより多くの畜産物(牛乳や牛肉)の生産が求められるため、高エネルギーで高タンパクの配合飼料給与が必要になります。

 我が国は、その配合飼料原料の約9割を海外からの輸入に頼っており、海外での作柄や為替の変動等がある度に、畜産経営は大きな影響を受けてきました。この影響を緩和するためには、配合飼料に置き換えることのできる国産自給飼料の開発が不可欠です。既に酪農では、配合飼料のトウモロコシ(エネルギー源)に代わる自給飼料として「トウモロコシサイレージ」が普及していますが、大豆粕(タンパク質源)に代わる自給飼料はまだ実用化されていません。

 そこで当研究所では、平成22年度から独立行政法人東北農業研究センターが行う国産大豆資源を用いた飼料開発に参加して、乳牛への給与試験を行ってきました。平成25年度は、配合飼料に含まれる大豆粕などを「大豆ホールクロップサイレージ(WCS)注)」で置き換えた飼料を搾乳牛に給与し、生乳生産などへの影響を調べています。これまでのところ、WCSで置き換えない飼料の場合と変わらない成績が得られており、自給飼料としての実用化が期待されます。

注)大豆ホールクロップサイレージ(WCS):通常の穀実大豆の収穫時期より早く、茎葉も一緒に収穫し、丸ごとサイレージに調製したもの

  • 大豆ホールクロップサイレージの写真

    大豆ホールクロップサイレージ

  • 収穫時期の大豆の株の写真

    収穫時期の大豆(刈取り前のもの)

(畜産研究所家畜飼養・飼料研究室 主任専門研究員 齋藤 浩和)

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