秋風に 涼しく揺れる「キビの名は」~ キビ新品種育成試験
県北農業研究所ではキビの穂が秋風に揺れ、収穫時期を迎えています。この畑の中に、大きな黒い殻の粒をたわわに付けた、現在開発中のキビの新品種があります。
国内有数の雑穀産地である岩手県内の精白工場では、精白できたキビと出来ていないキビを仕分けるのに「色彩選別機」を使っています。しかし、県内で最も多く栽培されている現行栽培種は、外の硬い殻(「穎」:えい)の色が薄いベージュ色であるため、精白されたキビの黄色い粒と色合いが似ており仕分けが難しく(写真1)、同じ機械に3回も4回も通さなくてはなりません。
そこで、県北農業研究所では作業現場での精白作業の効率化を図るため、黒色の殻をもつ新品種の育成に取り組みました。また、精白歩留を高めるとともに、雑穀ご飯の中でもよく目立つように「粒を大きくすること」、「たくさん収穫できること」も併せて目標に定め、平成18年に人工交雑(かけあわせ)を行いました。
これまで7年の育成期間を経て、現行栽培種より粒が大きく、穎が黒い多収系統を選抜してきました。9月6~7日に開催した県北農業研究所の公開デーにおいて、キビご飯のおにぎりを試食していただいたところ、「粒が大きいのでプチプチとしているのにもちもちとしている」と、新品種候補のおにぎりをおかわりするお子さんも多く、比較品種が余ってしまうほどの好評ぶりでした。
本年度は所内の他、軽米町と一戸町の農家ほ場での現地試験も行っています。まだ名前も無いキビですが、将来産地を支える品種に育って欲しいと願っています。
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現地ほ場の様子
(左:新品種候補、右:倒伏した現行栽培種) -
新品種候補(左)と現行栽培種(右)の粒色(上:子実、下:精白粒)
どちらも下の精白粒に子実を混ぜているが右はわかりにくい
(県北農業研究所作物研究室 主査専門研究員 仲條 眞介)
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