必要なだけ、ムダ無く施肥してコストダウン ~ 高窒素鶏ふん肥料でキャベツの肥料費低減
肥料費は生産コストに占める割合が大きく、そのコスト低減は農業経営における大きな課題のひとつです。肥料費を低減するには、家畜排せつ物を利用することが有効であることから、生産環境研究室では、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構・中央農業総合研究センターおよび民間の堆肥製造業者と共同で、鶏ふん堆肥を活用した低コストな肥料の開発に取り組んでいます(農林水産省委託プロジェクト研究「気候変動に対応した循環型食料生産等の確立のための技術開発)」)。
この肥料は、普通肥料として登録されている鶏ふん肥料と尿素を8:2の割合で混合しペレット化したもので、窒素含量が12%と高く、肥効も速効的で化学肥料と同じように扱えるのが特徴です。また、リン酸とカリは、鶏ふん肥料由来の成分のみのため、いずれも3%と低く、リン酸とカリが蓄積しているほ場での利用に適しています。
現在、この肥料の試作品を使ったキャベツの栽培試験を岩手町で実施しており、慣行の化学肥料との比較を行っているほか、高窒素鶏ふん肥料のうね内部分施肥機への適応性についても検討しています。うね内部分施肥とは、うね中央部の作物の根域にのみ肥料を施用する方法であり、これにより肥料を減らすことが可能で、試験では全面施肥より30%の減肥としています。
キャベツの定植を7月下旬に行い、現時点では、高窒素鶏ふん肥料区の初期生育は化学肥料区と比べて同等以上であり、今後の調査結果が期待されます。
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岩手町現地試験圃場の様子
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うね内部分施用機による畦立て
(環境部生産環境研究室 主任専門研究員 桐山 直盛)
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