冷蔵庫の中でも元気に活躍! ~ 低温性乳酸菌を用いた寒冷時期サイレージ発酵品質向上試験
サイレージは、青刈りした牧草を発酵させたもので、主として酪農経営で用いられる乳牛用の飼料です。本来、牛は草食動物なので、常に良質な牧草を食べさせる必要がありますが、牧草の生産時期は限られています。そこで、サイレージに調整して貯蔵性を高めることにより、通年利用することができます。
このサイレージ作りで最も重要なのは、刈り取った牧草を、可能な限り速やかに乳酸発酵させることです。乳酸発酵の主役である乳酸菌は、通常25℃前後で活発に増殖し、10℃付近では活動が停止します。盛岡の平均気温は、3番草の刈取を行う10月中旬には12℃まで下がるため、速やかな乳酸発酵、すなわち良質なサイレージ作りが難しくなる、という問題があります。
そこで外山畜産研究室では、10℃以下の条件でも増殖可能な「低温性乳酸菌」が存在することに着目し、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所と共同で、この乳酸菌を利用したサイレージ品質の向上試験を開始しました。
まず最初に、抽出した低温性乳酸菌の中から有望な菌株を選抜し、これを牧草に添加密封して5℃の冷蔵庫で約1ヵ月保管し、乳酸発酵の状況を調べました。その結果、通常の乳酸菌を添加したものより約3倍量の乳酸が生産されていることが分かりました。現在は、まだ実験室での予備的な試験段階ですが、今後、実際のサイレージ生産条件での試験に移行する予定です。
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低温性乳酸菌抽出の様子
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1か月間冷蔵されたサイレージ
(この中に低温性乳酸菌がいます)
(畜産研究所外山畜産研究室 主査専門研究員 増田 隆晴)
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