いもち病は油断大敵! ~「ひとめぼれ」の穂いもち防除の省略

ページ番号2005850  更新日 令和4年11月10日

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 いもち病は、水稲栽培において最も注意を要する病害のひとつで、古くからその発生生態や防除についての研究が行われてきました。今回は、現在実施中の「いもち病防除体系確立に関する研究」についてご紹介します。

 岩手県内のいもち病防除は、「ひとめぼれ」では「移植前の葉いもち予防箱施用剤」+「本田での穂いもち予防粒剤」を使用する体系が主流となっています。この体系の普及に伴い、近年では葉いもちの発生が少なくなったことから、広域的に穂いもち予防粒剤の使用を省略している地域があります。

 しかし、これまで「ひとめぼれ」について、穂いもち防除を省略した場合の被害リスクの評価は不十分なものでした。そこで、「箱施用剤の広域施用で葉いもちの発生を抑え、穂いもち防除を省略することは可能か?」ということをテーマに、平成22年度から研究に取り組んでいます。この研究では、農業研究センター内のほ場試験と現地広域調査により、「葉いもちの発生量」と「穂いもち防除の有無」「穂いもちの発生量」の関係について検討しています。

 農業研究センター内のほ場では、いもち病の発生を促すため、いもち病の発病苗をほ場内に設置し、7月中旬にほ場内の稲に葉いもちが発生していることを確認しました。また、7月24~26日には奥州市内で、穂いもち防除を広域的に省略している地域と、防除を実施している地域の葉いもちの発生状況を調査し、約270カ所のデータを集めました。9月には、同じほ場で穂いもちの発生状況を調査する予定です。

 本年は、7月中旬から降雨が多く、いもち病に感染しやすい気象条件が続いていますので、いもち病の発生には注意が必要です。いもち病の防除体系を効果的で効率的なものにできるよう、今後も調査を続けていきます。

  • 現地ほ場で葉いもちの発生状況を調査中の写真

    現地ほ場で葉いもちの発生状況を調査中

  • いもち病の病斑の写真

    本年はいもち病に要注意です!

(環境部病理昆虫研究室 専門研究員 菅 広和)

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