土壌中の「蓄え」を有効利用して窒素を減肥 ~ 肥料利用効率の高いトマトの窒素施肥基準の策定

ページ番号2005851  更新日 令和4年11月10日

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 窒素は、作物の生育に最も影響する重要な養分ですが、作物が吸収する土壌中の窒素には、根が直接吸収し利用できる「無機態窒素(主に硝酸態)」と、根は直接吸収できませんが土壌微生物の分解により比較的短期間で無機態窒素に変化する「可給態窒素」に分けられます。

 生産環境研究室では、平成23年度から2カ年、トマトの連作ハウスで、窒素施肥量を段階的に変えた施肥反応試験を実施したところ、作付前の土壌に無機態窒素がほとんどないにもかかわらず、県の施肥基準(窒素:基肥12kg+追肥18kg/10a)より少ない量で、商品果収量10アールあたり10トンを確保することができました。これは、長年にわたる堆肥の連用やトマトの連作によって土壌中に十分蓄積している「可給態窒素」を、トマトが吸収・利用したものと考えられます。

 今後、このハウスや県内トマトハウスの土壌の可給態窒素を調査し、堆肥の連用やトマトの連作年数など栽培の来歴と土壌の可給態窒素含量との関係を解析し、現地で利用可能な窒素の減肥基準を策定したいと考えています。

トマト施肥反応試験を実施中のハウスの写真
トマト施肥反応試験を実施中のハウス
(撮影日:平成25年8月6日)

(環境部生産環境研究室 上席専門研究員 佐藤 喬)

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