更新1年目から放牧利用を可能に ~ 放牧地の春季更新技術の確立に挑戦

ページ番号2005862  更新日 令和4年11月10日

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 岩手県の面積は、47都道府県の中では北海道に次いで広く、私たちの先人は、長年にわたってこの広大な大地を放牧地や採草地に造りかえてきました。そしてこれらの草地等は、今や全国屈指となった酪農・肉用牛発展の原動力であり、本県の強みとするものでした。

 ところが、この強みが原子力発電所事故で放出された放射性物質汚染により大きな痛手を受け、利用されていた114か所の公共牧場のうち、25か所が利用を自粛せざるを得ませんでした。その後除染対策が進められましたが、この春利用再開にたどり着いたのは、わずかに2か所となっています。草地等の除染対策は、一般的には夏から秋にかけて草地更新(耕して種を播きなおす)する方法をとります。しかし、一定の期間内で除染を行う機械や作業員を確保しなければならないため、実施できる面積には限界があります。

 そこで当研究室では、平成25年度からこの放牧地の除染対策を春に実施し、実施初年から放牧利用できる技術の確立に取り組んでいます。春の草地更新で問題となるのが雑草です。より早く雑草が伸びて、せっかく播いた牧草の成長を阻害してしまうからです。このため、試験では雑草に負けない成長が期待できる、イタリアンライグラスという品種を主体とした牧草を用いています。

 5月上旬に耕起した放牧地に播いた牧草の種は下旬に発芽し、今では草丈が15cmほどになっています。一方で、雑草なども伸び始めていますが、何とか7月中旬に放牧可能な状態になる見込みです。初めての取組で、今後様々な課題に直面するかもしれませんが、試行錯誤を重ねながら技術の確立を進めて参ります。

  • 耕起による除染作業中のトラクタの写真

    平成25年5月上旬に実施した耕起(除染)

  • 順調な発育を見せるイタリアンライグラスの写真

    順調な発育を見せるイタリアンライグラス

(畜産研究所外山畜産研究室 専門研究員 佐々木 正俊)

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