競い合い、学び合う ~ 北東北三県交流研修「特産鶏の育種・管理」
岩手では「南部かしわ」、秋田では「比内地鶏」、青森では「青森シャモロック」。このように、北東北三県では、それぞれ独自の特産鶏を開発し、生産者に雛の供給等を行っており、各県の研究機関は、より優れた特産鶏を生み出すためにしのぎを削り合う、いい意味でのライバル関係にあります。
そうした中で、平成24年6月中旬に北東北三県研究職員交流として、青森県産業技術センター畜産研究所で青森シャモロックの飼養管理を中心とした研修を受講し、本県でも活用できる技術や知見を学ぶことができました。
その一例が、種卵の殺菌消毒方法です。従来は、ホルマリンくん蒸が一般的でしたが、作業時の危険が大きいため当研究室では毒性の弱い薬品によるくん蒸に切り替えています。青森県では、作業者にとってより安全性の高い逆性石けん注1)液への浸漬による消毒法を平成23年から採用していました。他にも、ヒナの雌雄を見分ける「翼羽鑑別法注2)」などを実際に体験でき、非常に有意義な研修となりました。
また、意見交換の際に、当研究室で実施している育種価を用いた種鶏選抜方法を紹介したところ、さっそく青森県でも取り入れたいとの話題になりました。今回の研修を通じて築くことができた研究者間のネットワークを活用し、お互いに研究開発のレベルアップを図っていきたいと思います。
注1:広範囲の微生物に対し殺菌作用を示すため、外用の消毒薬として用いられる。普通の石けんが水中で脂肪酸陰イオンになるのに対し、逆性石けんは陽イオンになる。
注2:初生ヒナの雌雄を鑑別する方法のひとつで、ヒナの羽の形(羽毛の伸び)の違いによって見分ける。ヒナの雌雄鑑別法は鶏の種類によって異なり、生殖器の違いで判別する「肛門鑑別法」や体色・模様の違いを利用した「カラー鑑別法」などがある。
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種卵逆性石鹸浸漬消毒
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研修受講風景(左が執筆者)
(畜産研究所家畜育種研究室 主査専門研究員 佐々木 睦美)
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