消費者に好まれる牛肉「おいしさ」のカギは? ~ 脂肪酸組成への遺伝的影響の解析

ページ番号2005993  更新日 令和4年11月17日

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 食品に対する消費者の好みは十人十色です。牛肉についても、脂の乗った霜降りを好む人がいる一方で、脂身の少ないヘルシーな赤身を好む人もいます。今回ご紹介するのは、本県で生産される黒毛和種の牛肉を、より消費者に好まれる方向に改良していくための取り組みについてです。

 霜降りの高級和牛肉の美味しさは、脂肪に由来するものだと考えられています。近年、霜降りの度合いが同じでもおいしさに違いがあり、その違いを生み出す要因の一つが「脂肪酸の組成」であることが判ってきました。脂肪酸は、その分子構造から飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられますが、不飽和脂肪酸の割合が多いと脂肪が低い温度で溶け出して、「おいしい」と感じやすくしていると考えられています。

 畜産研究所では、平成23年度までに本県で作出された種雄牛における、脂肪酸組成に影響を与える遺伝子の保有状況を明らかにするとともに、種雄牛ごとに遺伝的能力の高低(推定育種価)を整理することができました。今後は、この育種価を地域での子牛生産や新たな種雄牛づくりに活用し、消費者に好まれる牛肉生産に貢献したいと思います。

牛肉中の脂肪酸組成に関する現地取組の支援状況

時期

内容

平成22年8月26日

全農肉牛経営者連絡協議会研修会への講師派遣

「岩手県産牛肉の脂肪酸組成に関する試験研究状況について」

平成23年5月 全共予備選抜牛38頭のSCD遺伝子型調査
平成24年1月13日

現場検定枝肉調査会研修会への講師派遣

「和牛肉の旨み成分(脂肪酸)について ~ 岩手県産黒毛和種の研究から」

平成22年10月~ 農協肥育部会(新岩手奥中山)の脂肪酸分析支援(101頭、平成24年4月時点)
脂肪酸分析の様子の写真
脂肪酸分析の様子
地道な作業の積み重ねです

(畜産研究所家畜育種研究室 主任専門研究員 佐藤 洋一)

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