成果を伝達、ニーズを把握 ~ 新岩手くじ短角牛生産部会研修会にて
平成25年2月21日、新岩手くじ短角牛生産部会が主催する研修会において、畜産研究所における日本短角種関連の試験研究成果について説明を行いました。中でも、説明に力を入れたのは、種雄牛を選抜する際に用いる「育種価」についてです。育種価とは、個体の血統情報と、その個体と血縁関係にある肥育牛の枝肉データを用いて推定されるものです。
人工授精が主体の黒毛和種では、子牛市場で育種価が表示されていることもあり、交配する種雄牛を絞り込む上で育種価が重要な判断材料になっています。一方、まき牛繁殖注)が特徴の日本短角種では個別に種雄牛を選べないため、育種価の活用はあまり進んでいません。それでも研修会に参加した生産者からは、「牛群の血統構成を考えながら、供用する種雄牛を決めていこう」と、活用に前向きな意見が聞かれました。
成果の説明を行った後で、日本短角種に関する試験研究への要望についてアンケートを行いました。今後、期待する分野として最も多かったのが「枝肉重量」と「放牧技術」、次いで、「美味しさ」、「脂肪交雑」の順でした。また、昼食時の懇談では、「給与する飼料で牛肉のアミノ酸組成がどうなるか研究してほしい」、「今日のような情報を定期的に提供してほしい」など、生産者の生の声を聴くことができました。今回得られた貴重な意見を、今後研究課題を設定する際に活かしていきたいと思います。
注)まき牛繁殖:1頭の雄牛を雌牛群(30~50頭程度)と一緒に放牧して、自然交配させる繁殖方式。

ア:枝肉重量、イ:脂肪交雑、ウ:美味しさ、
エ:繁殖技術、オ:肥育技術、
カ:飼料生産技術、キ:放牧技術
(畜産研究所家畜育種研究室 主任専門研究員 鈴木 強史)
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