暑い夏も天然水クーラーで快適に ~ 天然水を活用した夏秋どりいちご生産 岩泉町・田野畑村で実証中
岩手県農業研究センターでは、東日本大震災により被災した沿岸地域の農業の復旧と復興に向け、技術支援対策を行っています。
前回は津波被害に打ち勝ち、陸前高田市できゅうり生産が再始動したことをご紹介しました。第2回目は、岩泉町、田野畑村における夏秋どりいちごの栽培実証についてです。いちごの栽培は、土耕栽培や高設栽培などがありますが、今回は塩害土壌と隔離できる高設栽培方式を採用しています。
いちごは夏期の高温により花芽や果実の生育が不良となることが問題となっています。両地域では森林から湧き出る豊富な冷水が貴重な資源となっており、この冷水を活用していちごの株を冷却することで、夏期高温期に生産するいちごの高品質化と収量向上を目指し実証しています。なお、本実証は、宮古農業改良普及センター岩泉普及サブセンターと協力しながら、公益財団法人さんりく基金の助成を受けて実施しています。
実証している技術内容を紹介します。
- 栽培ハウス付近を流れる沢水をポンプアップまたは上流から取水してハウスまで引き込みます。
- 内径16mmのポリパイプをいちごの栽培ベンチのマルチ下に設置します。
- 農電サーモをいちごのクラウン付近に設置し、24℃以上となった際に冷水をポリパイプに通水し、ベンチ内の温度を下げます。ベンチを通過した冷水は沢へ戻します。
このような技術を用いることで、いちごのクラウン付近の温度が約2℃低下しますので、果実の高品質化を期待できます。今後は、定期的に生育や収量の調査を行い、実証成果の検証を行うとともに、農家の皆さんが活用しやすい技術として磨きあげていき、できるだけ早く技術をお届けできるよう頑張りますので、ご期待下さい。
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沢水をポンプアップします
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栽培ベンチのマルチ下に通水します
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ポリパイプをいちごクラウン付近に設置します
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利用後の冷水は沢へ戻します
(技術部南部園芸研究室 主査専門研究員 山田 修)
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