津波被害に打ち勝つ! ~ 陸前高田できゅうり生産再始動

ページ番号2006061  更新日 令和4年11月21日

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 岩手県農業研究センターでは、東日本大震災により被災した沿岸地域の農業の復旧と復興に向け、技術支援対策を実施しています。今回は、陸前高田市竹駒町におけるきゅうりの栽培実証について紹介します。
 
 当地域は、気仙川を逆流した津波により農地が被災しましたが、本年度きゅうりを生産するために除塩対策を実施し、目標とする電気伝導度注)(EC=0.6以下)となったことから平成23年6月10日に定植を実施しました。

注)電気伝導度:土の中の肥料分(塩類)が多くなるほど、電気が多く流れるようになる性質があり、この性質を利用して、土壌中の肥料塩類(硝酸態チッソ・塩素・カリ・苦土など)の多少を知ることができます。数値が大きいほど塩類が多く、高くなりすぎると、根の張り、吸収が悪くなり植物が痛みます。

 今回は、実施した除塩技術を紹介します。

  1. リアグレーダー(トラクターアタッチ)により表層の泥層、砂層あわせて5cm程度を剥ぎ取る。
  2. フロントローダーで表層を圃場の外に排出する。
  3. 沢水をエンジンポンプでポンプアップし、かん水チューブで圃場に散水する。
    (今回は約120mmの降雨に相当する量を散水しました)

 1~3を実施することで、最大9.84dS/mであったEC値が0.26dS/mまで低下しました。定植後2週間以上がたち、きゅうりは順調に生育しています。今後も定期的に生育や収量の調査を行い、今後の被災農地でのきゅうり生産に向けた技術対策としてまとめる予定です。

きゅうり実証ほ場のECの推移

作土表面からの深さ

4月15日

4月20日

4月30日

5月2日

5月4日

5月7~8日

5月13日

5月18日

5月19日

津波の堆積物

9.84

2.40

表層除去

-

かん水

60mm

-

-

かん水

60mm

作土表面~20cm

1.24

1.05

1.11

0.95

0.28

20cm~40cm

0.55

0.58

0.86

1.60

0.52

  • リアグレーダーで表層除去する様子の写真

    リアグレーダーで表層除去

  • フロントローダーで表層を排出中の写真

    フロントローダーで表層を排出

  • かん水チューブで散水中の写真

    かん水チューブで散水

  • きゅうりの定植中の写真

    きゅうりの定植

(技術部南部園芸研究室 主査専門研究員 山田 修)

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岩手県農業研究センター 園芸技術研究部 南部園芸研究室
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