冬でもたわわ・新品種のタマゴたち ~ 水稲の冬期温室世代促進
シリーズ「おいしいお米はこうしてできる!」のパート3です。これまで、お米のおいしさを判断する方法として、「食味官能試験」と「成分分析」についてお伝えしてきました。今回は、短期間でおいしいお米の品種を作る方法として「温室での世代促進」について紹介します。
通常、岩手県の気候では1年に1回しかイネを栽培することはできません(ちなみに沖縄などの温暖な土地では、1年に2回栽培(二期作)が可能です)。しかし、ガラス温室内で暖房と電照を使って日長を制御することによって、冬期である11月~3月にもイネを育てることが可能になります。当センターでは、秋に温室内で種子を播き、播種30日後から日長を8~10時間に調節する「短日処理」を約30日間続けて出穂を早め、春までに次の世代の種子を収穫します。
これによって、品種の“タマゴ”であるイネの種子を1年に2回収穫・選抜し、早く世代を進めて(=世代促進)短期間での品種育成ができるようになります。田んぼだけでの栽培に比べると、2年ほど育成期間を短くすることができます。
今回まで3回にわたり紹介してきた「おいしいお米をつくる」方法を活用しながら、できるだけ早く皆さんのもとにおいしいお米の新品種をお届けできるようがんばります。
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冬でも青々とイネが育っているガラス温室
奥の暗室へ台車を移動して短日処理を行います -
収穫間近のイネ
将来の新品種のタマゴがこの中にあるかも?
(技術部作物研究室 技師 川代 早奈恵)
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