「おいしさ」のカギはアミロースとタンパク質 ~ お米の成分分析の様子を紹介します

ページ番号2006002  更新日 令和4年11月18日

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新品種「岩手91号」の株の写真
新品種「岩手91号」

 シリーズ「おいしいお米はこうしてできる!」のパート2です。パート1では、実際に“食べて”おいしさを判断する方法の「食味官能試験」についてお伝えしました。今回は“科学的に分析して”おいしさを判断する方法「成分分析」について紹介します。

 前回紹介した食味官能試験は、炊飯をはじめ多くの時間と労力がかかるため、実施できる点数は年間で約130点が限度です。そこで当センターでは、効率よく「良食味か否か」を判定するため、お米に含まれる特定の成分に注目して選抜する「成分分析」を実施しています。成分分析は、短時間で分析が可能なため実施できる点数が多いことがメリットで、分析点数は年間1,500点にもなります。

 一般にご飯は「粘りがあり、ほどよい硬さがある」ものがおいしいとされていますが、粘りはデンプンの一種である“アミロース”という成分と、硬さは“タンパク質”と、それぞれ関連があると言われています。アミロース含有率は16~18%、タンパク質含有率は5~6%台と、良食味とされている数値を目標として選ぶことによって、良食味品種の育成に活かすことが出来ます。

 最終的な判定は、食味官能試験の結果を基に行いますが、あらかじめ成分分析で点数を絞り込むことによって、食味の良い米を選抜する効率が大きく向上します。本年度の研究成果である新品種の、粘りが強く冷めても硬くなりにくい低アミロース米「岩手91号(きらほ)」も、成分分析 → 食味官能試験というステップを経て選抜しました。

 次回パート3では、冬でも温室でイネを栽培して、短期間で品種を育成する「世代促進」についてお伝えします。

  • 「オートアナライザー」の写真

    アミロースの含有率を測定する機器
    「オートアナライザー」

  • 近赤外分析装置の写真

    タンパク質の含有率を測定する
    「近赤外分析装置」

(技術部作物研究室 技師 川代 早奈恵)

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