土壌中の放射性セシウムによる作物への影響は? ~「放射性物質に関する農業指導者向け研修会」を開催

ページ番号2006009  更新日 令和4年11月18日

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 東日本大震災による東京電力・福島第一原子力発電所の事故の影響は、本県の農業においても大きな問題となっています。平成24年1月16日に当センターを会場として、県内の農業関係者を対象に「放射性物質に関する農業指導者向け研修会」(主催:県農林水産部)が開催されました。研修会では、放射性物質についての基礎知識を学ぶとともに、これまでの調査結果について報告しました。農業関係者の関心は非常に高く、市町村、農協関係者など200名以上が出席し、熱心な質疑や意見交換が行われました。

 当センターと中央農業改良普及センターは、平成23年9月に「放射性物質に係る農業技術対策調査検討チーム」を結成し、農作物と土壌の調査を進めてきました。その結果、今回測定対象とした本県の土壌の場合、放射性セシウムの濃度には地域差がありましたが注)、農作物からはほとんど放射性セシウムが検出されず、影響は小さいと考えられます。また、一部の牧草からは放射性セシウムが検出されていますが、その原因の調査結果を踏まえると、酸度矯正やカリウムの施用が牧草の放射性セシウム低減に有効であると考えられます。

 これらの調査結果も踏まえ、現在、平成24年度の作付けに間に合うよう、生産管理技術指導の参考となる資料を作成しています。なお、県が別途実施した検査では、一部の大豆で放射性セシウムが検出されたことから(平成23年11月公表)、調査検討チームでは、その原因解明についての調査も進めています。

注:本調査での土壌の放射性セシウム濃度の最大値:約1,300Bq/kg
 (測定器:NaIシンチレーションスペクトロメーター)
 (参考)水田での作付け制限:5,000Bq/kg

  • 測定機器スペクトロメータの写真

    農林水産省より貸与された測定機器
    NaI(Tl)シンチレーションスペクトロメータ

  • 水田土壌のサンプル採取中の写真

    水田土壌のサンプル採取

(環境部生産環境研究室 生産環境研究室長 小林 卓史)

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