いつかは“純”情リンドウを夢見て ~ 未受精胚珠培養によるリンドウ育種
当センターではリンドウの育種に取り組んでおり、これまでに18品種を育成しています。育種は、両親が異なる系統をかけ合わせる一代雑種(F1)育種法で行っており、形質の揃いや生育が優れた品種が得られます。よいF1品種を作るためには、形質の優れた親系統が必要となりますが、現在取り組んでいる親系統の自殖や集団選抜では、形質を揃えるのに時間や手間がかかることが難点となっています。
そこで、優良な親系統を効率良く育成するために、「未受精胚珠培養注)」という技術の利用を試みています。この方法によると、比較的短期間で遺伝的に均質な集団を作ることが可能となります(農林水産省「新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業」、課題名:「純系を利用した新育種法手法による国際競争力の高いリンドウの開発」)。
「未受精胚珠培養」で得られた個体から前年に採種したものを、平成23年6月に圃場に定植しています。平成24年以降その形質を確認し、揃いが良いものは「純系(=遺伝的に純粋な系統)」と判断されます。「純系」を親としたF1育種が確立することで、開花期や形質の揃いが格段に向上した品種の育成が可能になります。当研究室の今後のリンドウ育種に期待してください。
注)未受精胚珠培養:受精前の胚珠を取り出して培養し、半数体の個体を育成する方法。後に倍加して2倍体とすれば、遺伝的にホモ(均質)な通常の個体と同様に扱うことができ、育種母本としても利用が可能となる。
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容器の中の小さな培養植物が…
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圃場に植えられどのような姿に?
(技術部野菜花き研究室 主査専門研究員 星 伸枝)
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