二兎を追う者二兎を得る!? ~ 県産小麦の高品質・安定生産を目指して
小麦は、大豆と並び岩手県の水田農業を担う畑作物として重要な作物です。県産小麦の代表的品種である「ナンブコムギ」は、パンやせんべい、うどんなどに幅広く利用されており、この名前を耳にしたことがある方も多いと思います。
技術部作物研究室では、本県に適する小麦品種の選定とその栽培法、毎年の生育の特徴を解析する作況試験、有効な小麦用の除草剤の選定、鶏糞等有機物を利用した施肥試験など、様々な課題に取り組んでいます。この中でも最も力を入れているのが、新しい品種を選定するための「奨励品種決定調査」です。小麦は製粉された後、実需者(製麺業者、パン・菓子製造者など)によって最終的な製品となります。
小麦は、栽培法や地域、年次などにより収量や品質に「ふれ」が生じますし、実需者によって加工適性の評価が分かれることも多々あります。こうした課題を解決するには、生産者にとって「作りやすく」、実需者にとって「加工に適する」という、難しい条件を同時に満たす必要があるため、品種としてデビューするまでには水稲や大豆と比べ多くの年数を要します。
本県では現在、連作障害による収量・品質の低下が問題となっていますが、その対策となる新品種への期待が高まっています。当研究室では、こうした期待にできるだけ早く応えられるよう、二兎、三兎を追いながら引き続き努力していきます。
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貴重な研究材料なので鳥害を避けるため防鳥網を張ります
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麦類の雪(雪腐病)に対する強さを比べる試験の様子
(一戸町での現地試験)
(技術部作物研究室 畑作・種子生産チーム長 上席専門研究員 小綿 寿志)
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