不耕起栽培で「省力化+収量安定」の“一石二鳥” ~ 飼料用とうもろこしの省力栽培技術

ページ番号2006151  更新日 令和4年11月25日

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 輸入飼料の価格高騰により、自給飼料の確保・増産は畜産経営を安定させるため重要な対策の一つとなっています。その中でも飼料用とうもろこしの不耕起栽培は、自給飼料生産における「省力化」と「収量の安定化」を両立する技術として、今後の普及が期待されています。

 家畜飼養・飼料研究室では、飼料用とうもろこしの単作条件で、6年間連続で不耕起栽培した試験に取り組んだところ、慣行の耕起栽培と比べ初期生育に優れ、ほぼ同等の収量が得られました。さらに、耕起から播種までの一連の作業時間が5分の1以下に短縮されることが確認できました。これらの効果は、特にもコントラクターなどの大規模経営体で、採草地とのローテーションなど粗飼料の生産計画の自由度が増すことや、規模拡大や労力分散などのメリットにつながるものと考えられます。
 
 さらに現在は、飼料用とうもろこしの不耕起栽培と冬作飼料作物の麦類を組合せた、二毛作体系の研究に取り組んでいます。飼料用とうもろこしの不耕起栽培では、前作の麦類を収穫した後の茎葉(ひこばえ)が再生・繁茂し、後作のとうもろこしの生育を妨げる場合があります。

 飼料作物の二毛作は、本県では栽培期間の確保が厳しい等の理由からあまり普及していませんが、前作のひこばえの抑制方法を確立することにより、不耕起栽培の作業時間の短縮効果を活用した二毛作導入が可能となり、飼料増産に貢献するものと期待されます。

  • 飼料用とうもろこしの初期生育の比較写真

    飼料用とうもろこしの初期生育は不耕起栽培(写真右)が優れています

  • 飼料用とうもろこしの不耕起播種作業の様子の写真

    ライ麦収穫跡地での飼料用とうもろこしの不耕起播種作業の様子

(畜産研究所家畜飼養・飼料研究室 主任専門研究員 多田 和幸)

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