おいしさと健康をいつも食卓に ~ 日本短角種の周年出荷に向けた飼養管理技術の確立

ページ番号2006154  更新日 令和4年11月25日

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 岩手県北部を中心に飼養されている日本短角種は、高い放牧適性と豊富な草資源を活用した牛肉生産が可能な品種です。また、黒毛和牛に比べ脂肪が少なく赤身の多い肉質は、ヘルシー志向の「短角ファン」から多くの支持を受けています。

 日本短角種の繁殖は、伝統的な「まき牛交配(自然交配)」で行われ、春に出産する「春子生産」が主となることから、生産~出荷体制が季節によって偏りを生じ、需要者側の要望に十分応えられない面がありました。

 これを解消するため、外山畜産研究室では、既存の日本短角種の生産方式を崩さないで分娩時期を分散し、周年出荷を目的とした繁殖・飼養方式の検討を始めました。繁殖のスタートとなる交配時期を前倒しし、放牧開始前の舎飼期の雌牛群に早めに種牛を混飼させる方法をこの春から試みています。

 広めの牛舎やパドックなど適度なスペースを確保したうえで、各農場から集めた雌牛群と雄牛1頭を一定期間混飼させれば、春子より比較的容易に早生まれの子牛を生産することが可能になります。また、分娩時期が分散することで密飼化を防ぎ子牛疾病の予防にもつながると考えられます。

 平成22年3月より牛舎パドックでの交配をはじめ、放牧開始前の5月までに3期(群)23頭の交配を試みており、すでに3月群では本年12月に分娩予定となる7頭の受胎を確認しています。牛舎の自然交配でも発情発見、授精等の手間いらずで、これまでの夏山冬里の飼養体系を継続した形での子牛生産技術の構築を検討しています。

  • パドックでまき牛交配中の写真

    雪解けのパドックで雄牛1頭(右側)をまき牛交配

  • 交配があったことを示す尾の付け根の写真

    交配があったことを示す尾の付け根
    黄色いペイントマーカーの毛が擦れて乱れる

(畜産研究所外山畜産研究室 主任専門研究員 藤澤 牧人)

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