膨大なデータも自動で記録&ラクラク管理! ~「農業経営ナビシステム」の現地実証

ページ番号2006155  更新日 令和4年11月25日

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 GAP注)導入による農産物の安全確保やムダの削減による経営改善を進めるためには、農作業の実績を正確に記録し、整理・分析したうえで、翌年度以降の農作業改善を進めていく必要があります。 しかし、生産履歴の膨大なデータを記帳・管理するための負担が大きいため記録が進まず、そのため記録が不十分となり作業・経営改善が進まない、といった問題があります。

 そこで、農業経営研究室では、GAPにおける農業者の記帳負担軽減および記帳データを活用した作業・経営改善を可能にするため、九州大学を中核機関とする研究プロジェクト「GAP導入促進のための経営支援ナビゲーションシステムの開発」(農林水産省・新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業)に取り組んでいます。

 平成22年5月29日、岩手県内の水田作経営において、九州大学・南石教授らが開発した「生産履歴情報自動収集システム」の現地実証試験を行いました。このシステムは、作業者が装着した各種センサ類から「いつ、誰が、どこで、どの作物に対し、何の作業を行ったか」というデータを、自動的に収集・記録できるものです。

 今回は、田植え作業を対象に「水稲の苗が、どのハウスから運ばれ、どの圃場に何箱植えられたか」を記録しました。このシステムにより、「何時何分にどの育苗箱を運んだのか、また、作業者がどのように移動し、どの圃場に苗を供給したのか」という一連の流れを自動的かつ時系列的に把握することができました。今後は、実証試験の結果等を踏まえ、操作性の向上や機材の小型化を図り、実用化を進めていく予定です。

注:GAP(Good Agriculture Practice:適正農業規範):残留農薬や病原性汚染などのリスクを防ぎ、食の安全を確保するための農業生産段階のリスク管理手法。生産者自らが食品の安全性向上や環境負荷低減、労働安全や経営改善の観点で実施すべき「基準(管理項目)」を定め、これに沿って「計画 → 実施・記録 → 点検・評価 → 見直し・改善 → ……」を繰り返し実践すること。

システムを装着しての作業の様子の写真
システムを装着しての作業の様子
  • 育苗箱を識別するICタグの写真

    育苗箱を識別するICタグ(円内)

  • 専用ソフトウェアのスクリーンショット

    専用ソフトウェアにより農作業を再生・確認する
    農作業を行った場所、移動ルート、作業時の目線・手元画像、接触した育苗箱等が表示される

(企画管理部農業経営研究室 主任専門研究員 前山 薫)

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