進化する石灰質肥料 ~「粒状てんろタンカル」でバランス良い土づくりを
土壌のpHを作物に適した状態に保つことは、土壌管理の最も基本的な事項のひとつです。しかし、近年の生産資材の高騰や労働力不足から石灰質肥料の施用が不十分になり、適正な範囲から大きく酸性に傾いた圃場が増えています。そのため、散布しやすく酸性土壌の改良効果にも優れた、使いやすい石灰質肥料が求められています。
岩手県内には、「転炉さい」を原料とした「てんろ石灰」が製造され流通しています。この肥料は、酸性改良の速効性は炭酸カルシウム(以下「タンカル」)に及ばないものの、施用後の効果の持続性に優れています。「てんろ石灰」は、粉状・防散の2種類がありますが、防散タイプでも散布時の作業性にやや難があり、タンカルと同程度に散布しやすい性状のものが求められていました。
平成22年度、試験に供している「粒状てんろタンカル」は、従来の「てんろ石灰」に速効性のあるタンカルをブレンドし、粒状にした新しい石灰質肥料です。現在、酸性の土壌を使った室内培養試験で酸性改良の効果を検証中です。今後は、露地の枠圃場で、より生産現場に近い条件で速効性や持続効果を確認するとともに、作物の生育に対する施用効果を明らかにし、より効率的な石灰質肥料の施用技術を開発していきます。


(環境部生産環境研究室 上席専門研究員 鈴木 良則)
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