分子の物差しで確率アップ ~ DNA情報による黒毛和種直接検定牛選定の取り組み

ページ番号2006097  更新日 令和4年11月24日

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 肉用牛の種雄牛は、外貌、血統、育種価等を指標に選抜されていますが、近年では、これらの指標にDNA情報を加えた「DNAマーカーアシスト選抜」が可能になりつつあります。従来の指標にDNA情報を加えることで、より高能力の種雄牛を造成する確率が高まることが期待されることから、本県でも平成22年度から直接検定牛の選定に、これまでの研究成果から得られたDNA情報を活用しています。

 本年度の第2~3期の選抜では、種雄牛「菊安舞鶴」の産子のうち母牛の育種価から11頭の候補牛を選定し、各広域振興局の協力により候補牛の毛根からDNAを採取しました。採取したDNAについて、乳頭数不足原因遺伝子の有無、BMS(脂肪交雑)に関連する遺伝子座の型を調査し、乳頭数不足原因遺伝子を持たず、BMSにプラス効果のある遺伝子を受け継ぐ産子2頭を直接検定候補としました。このように、検定前にDNAマーカーにより検査することで、より効率的な選抜が可能となっています。

 また、本年度から全農岩手県本部の協力を得て、DNA育種研究のためのサンプル収集体制が整備されました。「サンプル収集 → DNA解析 → 選抜での活用」という一連の流れが確立したことで、種雄牛造成での活用促進と選抜の効率化が期待されます。各関係機関が連携してのDNA育種への取り組みは、全国でも先進的なものであり、数年後にDNA情報を活用して選定された種雄牛がデビューすることを目指しています。

DNA情報を利用した選抜のイメージ図
DNA情報を利用した選抜のイメージ

(畜産研究所家畜育種研究室 専門研究員 佐藤 洋一)

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