カドミウムの基準値強化に対応した農作物のリスク管理 ~ 簡易・安価・迅速な「イムノクロマト法」
カドミウム、ヒ素、カビ毒、O-157・サルモネラ等の病原微生物など、人体に危害を及ぼす要因となり得る物質が、一定の基準を超えて含まれる食品の流通を禁止するために、我が国では食品衛生法が定められています。
特にも、カドミウムについては、平成23年2月28日に食品衛生法に基づく濃度の基準値が、コメでは現行の「1.0ppm」から「0.4ppm」へ強化・改正される予定です。そのため、出荷前にカドミウム濃度をモニタリングし流通防止を図るなど、生産現場におけるリスク管理の徹底が求められることになります。
そこで、そのスクリーニング手法として有望視されている「イムノクロマト法」を紹介します。
イムノクロマト法の主な特徴は、以下のとおりです(具体的な手順は下図を参照)。
- 抗原抗体反応による専用のカラムキットで測定します。
- 特殊な施設や高額測定機器を用いない簡易測定法です。
- 出荷前のスクリーニング用として生産現場で迅速に測定できます。
また、今後はコメ以外の麦、大豆、野菜等についても、基準値が強化されることが想定されます。そこで現在、独立行政法人農業環境技術研究所がリーダーとなって、生産段階のリスク低減技術の開発プロジェクトが進められています。当研究室は、イムノクロマト法を用いた畑作物のカドミウム濃度簡易測定法の開発を担当し、平成22年度中に生産現場で使いやすい形で成果にまとめることとしています。

独立行政法人農業環境技術研究所「農環研ニュース No.77」
研究トピックス「イムノクロマトアッセイを用いた玄米等のカドミウム濃度簡易測定」より(中野・一部改変)
(環境部生産環境研究室 生産環境研究室長 小菅 裕明)
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