「安全・安心」りんごの安定生産を(2)~ 授粉専用品種「スノードリフト」が花盛りです
りんごは、自家結実(稲のように自分の花粉で受精すること)しないことから、他の品種の花粉によって結実を確保しています。しかし、異なる品種が混在すると効率的な作業ができず、また、品種ごとに農薬の散布時期も異なるため、他品種への農薬飛散(ドリフト)が問題となっています。この問題を解決するには、りんごの授粉専用品種を利用することが有効で、その中の一品種「スノードリフト」が5月に入って開花を迎えています。
園芸研究室・果樹チームでは、平成20年度までに授粉専用品種を容易に導入できる「高接ぎ法」(異なる品種の枝を接ぎ木する方法)と、「ポット大苗移植法」についての技術を開発しました。
- 技術の特徴
3年ほど養成した授粉専用品種のポット大苗は、移植後すぐにたくさんの花が咲きます。このポット大苗を主要品種の樹間に移植することで、結実向上が期待できます。なお、ポットは生分解性ポット(商品名:テラマックポット。規格:口径18cm、深さ18cm)が有効です。 - 授粉専用品種
市販されている授粉専用品種の中では「ドルゴ」と「スノードリフト(商品名:ふじぽん)」が有効です。なお、授粉専用品種の台木はJM7台木を利用します。 - 技術の導入効果
・りんごの単植化が実現可能となり、薬剤散布によるドリフト問題が解消されます。
・授粉専用品種の利用で結実が向上し、果実の品質も向上します。
本技術の導入によって作られた「安全・安心」なりんごが、皆様の食卓に数多く上ることを期待しつつ、これからも更なる技術開発に取り組んでいきたいと思います。
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授粉専用品種「スノードリフト」(中央)の開花の様子
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授粉専用品種のポット大苗(品種:ドルゴ)
(技術部園芸研究室 果樹チーム長・主任専門研究員 高橋 司)
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