受精卵移植を活用した種雄牛造成 ~「飛良美継」号&「来待招福」号

ページ番号2006201  更新日 令和4年11月29日

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 前回の記事では、種雄牛からの精液採取と凍結精液の安定供給についてご紹介しましたが、種山畜産研究室は、種雄牛を造り上げることも重要な業務の一つです。

 種雄牛の候補は、優秀な基礎雌牛に将来性が期待される基幹種雄牛を交配し、生まれた雄子牛12頭について「直接検定法」により産肉能力の優秀な5頭が選抜されます。この直接検定で選抜された5頭は、「現場後代検定」を行い産子の肥育成績によって、最終的に2~3頭が種雄牛としてデビューします。

 当研究室では、成長や産肉特性などの遺伝子能力を示す「育種価」の高い雌牛や、産子の肥育成績の優れた雌牛から受精卵を採取して誕生させた数頭を加えて、直接検定を実施しています。受精卵移植の活用には、次のような利点があります。

  1. 分割移植で一卵性双子をつくられる
    → 一方を種雄牛候補とし、他方を肥育することで本牛の産肉能力を調べることができる
  2. 短期間に兄弟牛が数多くつくられる
    → DNA検査等で、親の優れた能力を受け継いだ個体をさらに選りすぐることができる

 これまでに、受精卵移植で生まれた種雄牛は当研究室以外を含めると10頭で、平成21年度新規に基幹種雄牛となった「飛良美継」号(写真左)や「来待招福」号(写真右)ら7頭が活躍中です。また、平成17~20年度に直接検定を実施した受精卵産子のうち4頭について、現場後代検定を実施中または実施を予定しており、次代の基幹となる種雄牛の選抜を進めています。

  • 「ひらみつぐ」号の写真

    平成21年新たに基幹種雄牛に認定された
    「飛良美継(ひらみつぐ)」号

  • 「らいたいしょうふく」号の写真

    産子の枝肉成績が好調な
    「来待招福(らいたいしょうふく)」号

(畜産研究所種山畜産研究室 上席専門研究員 熊谷 光洋)

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