授粉専用品種で「安全・安心」りんごの安定生産を

ページ番号2006337  更新日 令和4年12月7日

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 りんごは、自家結実(稲のように自分の花粉で受精すること)しないため、他の品種の花粉が授粉しないと実が成りません。そのため、それぞれの園地では、異なる品種を混植することで結実を確保していました。しかし、収穫時期や農薬の散布時期の異なる品種を混植すると効率的な作業ができず、また、農薬のドリフト(飛散)が問題となり、農薬安全使用基準上、適切な時期に病害虫の防除ができなくなる可能性があります。

 そこで、園地内の品種を統一(単植化)するための共同研究「リンゴ品種の単植化に向けた新しい結実安定技術の開発」(平成16~20年度)が、独立行政法人 農研機構果樹研究所、岩手大学、宮城農園研、長野果樹試、岐阜大学、岩手農研により進められています。当センターでは、授粉専用品種を容易に導入できる高接ぎ(異なる品種の枝を接ぎ木すること)法について、検討しました。

  1. 技術の特徴
    ・「ドルゴクラブ」や「王林ぽん」を授粉専用品種として「ふじ」に高接ぎすることで、「ふじ」の結実率は向上します。
  2. 授粉専用品種の開花期
    ・「王林ぽん」は「ふじ」と同日~2日早く開花します。
    ・「ドルゴクラブ」は「ふじ」より3~5日早く開花します。
  3. 技術の導入効果
    ・りんごの単植化が実現可能となり、薬剤散布によるドリフト問題が解消されます。
    ・授粉専用品種の利用で結実が向上し、果実の品質も向上します。
  • 高接ぎしたドルゴクラブの写真

    高接ぎした「ドルゴクラブ」
    (撮影日:平成20年5月1日)

  • 高接ぎした王林ぽんの写真

    高接ぎした「王林ぽん」
    (撮影日:平成20年5月2日)

(技術部園芸研究室 主任専門研究員 高橋 司)

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