クローン検定で種雄牛の造成をスピードアップ!

ページ番号2006344  更新日 令和4年12月13日

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 フィールド(現場後代)検定による種雄牛選抜では、5年以上の年月と多数の検定牛が必要です。一方、検定期間を短縮するため分割双子技術注1)が実施されていますが、受胎率・双子率が低いこと、雄か雌か判らないなどの問題点があります。

 近年、核移植技術を用いて種雄候補牛の体細胞クローン牛を生産し、肥育することで候補牛自身の産肉能力を推定(クローン検定)することが可能となり、分割双子技術を補完する方法として期待されています。

 家畜工学研究室では、受精卵から将来胎盤になる細胞(栄養膜細胞)を傷つけにくい方法(ヘルニア法注2))で採取し、核移植に用いて体細胞クローン牛を生産する「胚由来クローン検定法」を開発中です。採取・増殖した細胞の遺伝子を調査することで、あらかじめ性別や肉質などの能力が判明した種雄候補牛を生産できるため、改良のスピードアップが図られます。

 栄養膜細胞からクローン牛が生産されたという報告は、全国でも未だ例がありません。当研究室では、栄養膜細胞を用いたクローン胚の作出に成功し受胎例を得ましたが、妊娠中に流産してしまいました。現在、種雄候補牛を作出すると同時に、そのクローン牛を生産するための研究を行っています。

注1)分割双子技術:高能力雌牛から採取した受精卵を半分に切断して一卵性双子を生産し片方を種雄候補牛、もう片方を肥育して枝肉を調査し、種雄候補牛の産肉能力を判定する方法(双子検定)です。これにより検定期間は約3年に短縮されます。

注2)ヘルニア法:受精卵の透明帯に小切開を入れ、そこから飛び出してきた細胞を切断して採取する方法で、受精卵へのダメージが少なくなります。

技術別造成期間の比較と特徴のイメージ図

増殖中の栄養膜細胞の写真
ヘルニア法 → 細胞切断・採取 → 増殖中の栄養膜細胞

(畜産研究所家畜工学研究室 専門研究員 福成 和博)

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