トマトにも「お盆休み」を ~ 雨よけトマトの収穫期調節技術の開発
岩手県の雨よけトマト長期栽培では、7月下旬~8月中旬に出荷が集中し、その後の出荷量が減少するため、市場からは8月下旬以降の出荷量の拡大を求められています。また、お盆休み(8月旧盆)には雇用労働力の確保が難しく、この時期の集中出荷はトマト生産者の大きな負担となっています。
南部園芸研究室では、お盆にかかる出荷のピークを後ろにずらし9月の出荷量を確保するために、収穫時期を調節する技術の開発に取り組んできました。平成18年は、花房を切除する摘花房と主枝更新注)の2つの処理について検討したところ、摘花房処理で果実の品質向上など一定の効果が認められました。本年は、これらの技術にさらに改良を加えて試験を行っています。
その結果、主枝更新と摘花房を組み合わせた処理で、お盆の収穫果数は慣行栽培より少なく、これから収穫が見込まれる上段の着果数や果実肥大は慣行より優る生育となっており、他の改良技術も含めて有望な試験結果を得られることが期待されます。
注)主枝更新:夏秋どり栽培等で樹勢が弱まり花や果実が小さくなってきた場合に1度摘芯(芯止め)し、摘芯した花房の直下のわき芽を新しい枝として伸ばす仕立て法です。通常より開花が遅れるため収穫時期の調節が可能になり、他の花房も果実の肥大が良くなるという利点があります。
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慣行無処理区では7段目を中心に着色した収穫果が多い
(撮影日:平成19年8月15日) -
主枝更新と摘花房の処理区では着色果が少なく上段の着果数も多い
(撮影日:同前)
(園芸畑作部南部園芸研究室 専門研究員 藤尾 拓也)
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