新たなるアブ除け効果! ~ 外山畜産研究室に「シマウシ」登場

ページ番号2004473  更新日 令和4年1月24日

印刷大きな文字で印刷

 夏の暑い日になると、“自然の王国”外山畜産研究室の放牧地にはアブが大量に発生します。アブの吸血行動は牛にとって大きなストレスとなり、痩せたり乳量が減ったりするほか、発症すると全身に腫瘍を形成し死亡することもある「牛伝染性リンパ腫」の原因ウイルスを媒介し、感染を広げていく要因となっています。

 これまで、放牧地のような屋外でアブから牛を守ることは難しかったのですが、2016年に「シマウマの黒白のシマ模様が吸血昆虫からの天然防御であり、アブはシマ模様に目がくらみ牛に留まりにくくなる」という本が出版され、2019年には国内の研究者が「牛にシマ模様をペイントすると吸血昆虫の攻撃を避けられる」と報告しています。

 そこで外山畜産研究室でも、牛をシマ模様に塗ってアブ除け効果の検証を行いました。令和3年8月2日と4日、外山では珍しく最高気温が30℃程度と高くなった暑い日の午後、日本短角種子牛8頭を放牧地に連れ出し、3頭は白ペンキでシマ模様に塗り、ほかの3頭はシマ模様のジャケットを着せ、残り2頭には何もせず、アブの付着の様子を比較しました。

 2回とも20分の間に10回写真を撮って付着したアブの数を数えたのですが、結果は何もしなかった2頭に比べて、シマ模様に塗ったりジャケットを着せた6頭では、牛体へのアブ付着数が大幅に少ないことを確認することができました。外山畜産研究室では、今後も牛に悪さをするアブと戦い続けます。

何も処置をしなかった牛の写真
何もしなかった牛(この牛のアブの付着数は25匹)
体をシマ模様に塗った牛の写真
シマ模様に塗った牛(この牛のアブの付着数は3匹)
シマ模様のジャケットを着せた牛の写真
シマ模様のジャケットを着せた牛(この牛のアブの付着数は3匹)

(畜産研究所外山畜産研究室 主任専門研究員 佐々木 康仁)

このページに関するお問い合わせ

岩手県農業研究センター 畜産研究所 外山畜産研究室
〒028-2711 岩手県盛岡市藪川字大の平40
電話番号:019-681-5011 ファクス番号:019-681-5012
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。