良質な精液は十分な観察から ~ 日本短角種種雄牛の凍結精液生産

ページ番号2004663  更新日 令和4年2月8日

印刷大きな文字で印刷

 今回は日本短角種種雄牛の採精についてご紹介します。

 日本短角種の繁殖方法は牧野での自然交配が一般的です。「短角に人工授精?」と、なじみがないかとは思いますが、近親交配の回避や牛群の改良等の目的で、一部人工授精が行われています。そのため、岩手県では優秀な成績をおさめた種雄牛の凍結精液の作成、販売を行っています。

 例年、年明けの1~3月に精液を採取する、通称「採精」を行っていますが、そう簡単にはうまくいきません。牛が乗駕しても射精しなかったり、乗駕してうまく採精できても精子の活力がよくなかったり、そもそも乗駕しなかったり、と難しいです。牛の状態や外気温等の様々な要因によって左右されるので、「牛の観察を十分に行わないと採らせてくれないのか~」、と試練のように感じています。

 うまく採精できたものは、種山畜産研究室に運搬し、活力や奇形率の検査後、凍結処理を行います。凍結精液を生産するために、凍結融解後の精子の状態を確認し、問題がなければ凍結精液として販売されます。
 平成30年度からは、凍結精液の県外販売が始まり、飼養頭数が減ってきた日本短角種の生産について、地域間で協力して行っていく体制が構築されつつあります。翌年の採精のため、引き続き、牛の観察を続けていきたいと思います。

  • 精液の入ったストローの写真

    精液の入ったストロー(黄色が短角の精液)
    まとめて液体窒素で-140℃で凍結します
    平成31年2月7日、種山畜産研究室にて撮影

  • 採精を終えた「ふくなみ」号の横向きの写真

    採精を終えた「福波」号
    平成31年3月28日、畜産研究所肉牛舎にて撮影

(畜産研究所家畜育種研究室 技師 土谷 のぞみ)

このページに関するお問い合わせ

岩手県農業研究センター 畜産研究所 家畜育種研究室
〒020-0605 岩手県滝沢市砂込737-1
電話番号:019-688-4328 ファクス番号:019-688-4327
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。