岩手県蚕業試験場要報 第19号

ページ番号1042044  更新日 令和3年4月21日

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種茎直播による簡易桑園造成法

伊藤眞二・宍戸 貢・阿部末男・土佐明夫・鈴木繁実・及川直人・藤沢 巧・壽 正夫

 種茎直播に適する種茎及び発芽・発根温度、播種法、機械収穫技術、経営・経済性について検討し、次の結果を得た。

  1. 種茎直播には「ゆきあさひ」、「みつしげり」、「しんけんもち」等発根力に優れた桑品種が適し、種茎の着芽数は3芽付けの活着が良かった。
  2. 種茎に使用する穂木は前年lこ春切無伐採無摘葉の枝条か、晩秋蚕期以降に先端伐採した程度の枝条の活着が良かった。
  3. 畦長1メートル当たり播種数は、高温・低温等気象変動や穂木条件による活着不良など活着不安定要因を考慮すると10個は必要と思われた。
  4. 発芽・活着は積算平均地温で400~500℃が適し、播種適期は4月20日~5月5日までであった。
  5. マルチ資材は低温年の地温の確保や、高温障害の回避などから濃緑フィルムが適した。
  6. マルチフィルムは5月20日以降になると高温障害の危険が高くなるため5月20日までに除去する必要があった。
  7. 除草剤による雑草防除はトレファノサイド粒剤6kg/10アールの播種前土壌混和とフィルム除去後コダールF剤の全面散期の併用処理が安定した効果を示した。
  8. やませ常襲地帯である岩手県北部沿岸地帯でも種茎直播による桑園造成が可能であることが実証され、桑も内陸部に劣らない収量が得られた。
  9. 土壌害虫(コメツキムシ類)によって芽、新梢、発根したばかりの若い根が食害をうけることがあるが、播種前にダイアジノン5%微粒剤6kg/10アールを散布することによって防除効果が得られた。
  10. 造成作業の機械化は溝掘りに小型管理機、覆土とフィルムマルチにトラクタのロータリーとマルチャを使用することで可能であった。ただし、播種だけは手作業に頼らざるを得なかった。
  11. 豆刈機(MG-1、和同産業KK)を改良した条桑収穫機(JK-1)の作業性は直進性に優れ、安定した走行が確保されるため作業強度が軽かった。収穫作業能率は最も条桑収穫量の多かった初秋蚕期で10アール当たり2時間30分、条桑1,000kgの収穫時間は約1時間であった。
  12. 4分割2春2夏輪収法で8回飼育に対応する収穫法は、蚕期ごとの収量にばらつきがあり桑園を均等に分割する輪収法では困難と思われた。
  13. 種茎直播による桑園造成の経済性は、苗木植に比べ10アール当たり労働費22.0時間で約55%、総経費が約67%まで低下した。
  14. 自然気象に負うところが大きい種茎直播の成功率を推定地温と降水量から推定すると、水沢は100%であるが、一戸では64%であり、低温年の地温不足や5月の乾燥などで失敗する確率が高くなると思われる。

北部地域における密植桑園の連年夏切収穫法

土佐明夫・宍戸 貢・伊藤眞二

  1. 異常気象の影響が少ない1995年の収穫量で比較すると、連年夏切収穫法は従来の一春・一夏輪収法と比較して、同程度の収穫量が得られた。
  2. 夏切再発枝条は、春切枝条より約30%条径が細く、収穫枝条の細茎化が図られた。
  3. 7月中旬以降に夏切した場合の再発枝条は、枝条の伸びが劣るほか、収穫量も減少するため、夏切時期は7月上旬までが限度と思われる。
  4. 夏切再発枝条は先枯・胴枯病の発生が予想されることから、地域適応品種の中でも耐寒・耐胴枯病の優る、「しんけんもち」・「ゆきしのぎ」を用いる必要がある。
  5. 以上のことから、密植桑園の連年夏切収穫法は、冷夏年の対応を除けば、北部地域でも実施可能と判断された。

非選択性茎葉処理除草剤「ビアラホス」によるクワ胴枯病防除効果

鈴木繁実・土佐明夫・宍戸 貢・阿部哲哉

 非選択性茎葉処理除草剤「ビアラホス」によるクワ胴枯病に対する防除効果を圃場試験を中心に検討した。

  1. 対照薬剤のホルマリン15倍液と比較すると、ビアラホス剤200倍液は中度抵抗性クワ品種「剣持」では同等か、やや勝る効果が認められた。罹病性クワ品種「改良鼠返jでは試験条件により「ふれ」があったが、ほぼ同等の効果が認められ、実用化が期待できる。

広食性蚕による4齢期人工飼料育・5齢桑葉育の現地実証

神山芳典・大津満朗・橋元 進・高橋 司

 広食性蚕品種「しんあさぎり」を用い1~3齢を蚕業試験場で人工飼料育、以後農家における4齢人工飼料育(齢中2回給餌)・5齢桑葉育(農家慣行)の飼育実証試験を行い、次の結果を得た。

  1. 農家における広食性蚕の4齢人工飼料育・5齢桑葉育は3ヵ年、3蚕期、延べ16回の飼育試験において平均収量30.7kg/箱で、ほぼ普通蚕並の上繭収量が得られた。
  2. 飼育成績は年次、蚕期、農家にこより大きな差がみられた。安定して高い収量を得るためには飼育目標温度の確認が重要であり、品種の特牲に適合した飼育管理の慣れも必要と考えられた。
  3. 繰糸試験の結果は、地域の普通蚕品種に比べ解じょ率は問題がなかったが、繭重、繭糸長、生糸重歩合は劣る傾向があり、この改善のためには蚕品種の一層の改良が必要である。
  4. 4齢期の飼育作業時間は平均111分/箱で省力的であった。

着椹性桑品種における椹の熟期と特性

澤口拓哉

(摘要なし)

桑園害虫と雑草の同時防除

阿部哲哉・鈴木繁実・及川直人・佐藤武彦・澤口拓哉

 春先の桑園管理作業の合理化・省力化を図るため、できるだけ安価な農薬を選抜し、クワヒメゾウムシと畑地の一年生雑草を対象にして、害虫と雑草の同時防除について検討した結果、殺虫剤としてはスミチオン乳剤+マシン油乳剤の混用液、除草剤としてはゲザガード水和期+スタム乳剤の混用液という4種混用液で高い防除効果が認められた。

合成フェロモンによるアメリカシロヒトリの発生消長

阿部哲哉・鈴木繁実

 合成性フェロモンを利用して桑園害虫であるアメリカシロヒトリを誘殺し、その発生消長を調査した結果、次のことがわかった。

  1. 合成性フェロモンによる発生消長では、5月下旬~6月上旬、および8月上旬~中旬の2回発生のピークがみられた。
  2. その発生消長は、2回目発生時に最大値を示した。
  3. 合成性フェロモンによる発生消長は、予察燈のそれよりピークが明瞭であり、誘殺数も多かった。

[資料]桑の発芽・発育調査(付・1995年気象調査表)

澤口拓哉・伊藤眞二・遠藤征彦

(摘要なし)

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