岩手県立農業試験場研究報告 第25号

ページ番号1041587  更新日 令和3年12月13日

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イネ馬鹿苗病の発生生態並びにその防除技術の改善に関する研究

渡部 茂

 この報告はイネ馬鹿苗病の発生と育苗法との関係、その伝染方法、および本田における感染発病の検討と防除技術の改善について研究した結果をまとめたものである。

  1. 保温折衷苗代、畑苗代および水苗代に播種した結果、畑苗代の発病率が最も高く、次いで保温折衷苗代、水苗代の順であった。
  2. 多発ほ場産種子を播種量をかえて播種し、保温折衷苗代および畑苗代条件下で発生状況を調査した。各様式とも平米当り100グラム播種で発病が少なく、120グラム、150グラムではほぼ同程度の発病であった。様式別では畑苗代で全般に多発した。
  3. 自然条件下で越冬した被害わら、刈株を土壌に敷込み、育苗した場合、畑苗代で多発生し、保温折衷苗代ではその約2分の1の発生であった。畑苗代では徒長苗が多発生し、保温折衷苗代では萎ちょう病が多発した。
  4. 従来保温折衷苗代や畑苗代では発生をみなかった種子消毒法で処理した種子を育苗箱に播種すると、0.08~0.39%の発病苗率を示した。この事実から、箱育苗方式自体に、発病を助長する何等かの要因が存在するものと推察された。
  5. 育苗箱内では苗が相接して発病するものが多い。すなわち、1株のみの単独発生は全体の約3分の1にとどまり、他はすべて2株以上の複数で発病する。この中で最も多い発病は2株で、これに次いで3株、4株、5~6株であり、多数株の発生頻度は順次低くなっている。この現象は播種後に罹病種子から2次的に感染し、周辺株に拡大したものと解釈される。
  6. 育苗箱内では、保菌種子を高率に含む場合も、低率の場合も共に、密播すると病菌が多くなり、薄播きで少発生となる。全休の発生量は保菌種子の多い場合に多発生する。培土ごとにみると、各培土とも病株の単独発生は少量播種区(箱当り100グラム)に多く、2株以上の複数発生は多量播種区(箱当り150~200グラム)に多かった。とくに箱当り200グラム播種では4~5株以上も集団で発病する場合が多かった。中でも粒状培土でこの傾向が著しかった。これらの結果から、育苗箱内の本病の集団発生の現象は、箱育苗という特殊な環境下における発病の特徴と考えられる。
  7. 馬鹿苗病菌の土壌中における粗大有機物中での発育は、フスマ添加の場合最も発育がよく、次いで完熟堆肥、牧草根などであった。無添加区では土壌中での発育は認められなかった。
  8. 前項の菌の発育した粗大有機物添加土壌に、消毒種子を播種した場合、何れの有機物材料でも殆ど100%発病した。このうち、徒長程度の最も顕著だったのほフスマ培養区で無処理の約2倍の草丈を示した。
  9. 有機物添加培養土壌と健全種子の播種位置では、病菌土が存在する場合は、その位置の如何にもかかわらず発病した。間土をして病菌土壌と種子との直接の接触をさけた場合でも徒長が認められた。
  10. 室内貯蔵および自然条件下に放置した被害わらを細断し、水および土壌とよく混合して保温折衷苗代をつくり、これに健全種子を播種すると感染発病する。
  11. 本田で罹病した株の刈株上で、自然条件下において菌の越冬が確認された。
  12. 黄変枯死し、葉鞘面に菌叢の形成した稈を収穫期に刈取り、室内に保存して、この上での菌の生存期間を調査したが、約1か年の生存を認めた。
  13. 1963年10月22日にフスマ培養菌を火山灰土壌に混合接種し、1964年4月17日に健全種子を畑苗代様式で播種したところ、13.4~15.6%の感染苗率を得た。1965年4月に再び健全種子および指標作物としてトウモロコシを播種したが発病しなかった。したがって、接種2年後においては土壌中の病原菌は死滅したか、感染力を失ったものとみられる。
  14. 大型分生胞子、小型分生胞子をスライドグラス上におき、風乾した後、殺菌土壌に埋没して発芽状況を中心に調査した。大型分生胞子は埋没60日後ころまでに大部分が発芽し、これ以後は胞子は崩壊、消失する。小型分生胞子もほぼ同様である。無殺菌土壌では大、小型分生胞子とも埋没15日ころまでは発芽を確認できたが、これ以後は胞子検出ができなかった。
  15. 育苗箱における保菌種子からの感染発病を、溝まき方式と、散播方式で調査した。溝まき方式では、接種原を置いた溝とその両隣接溝の苗で発病し、それ以外の溝の苗は発病しなかった。散播方式でも採種原の周辺苗で発病した。
  16. 殺菌土壌内で自然感染籾を中央におきその左右に健全種子10粒ずつを触接して播種した。播種2日後から20日後に着菌した種子の位置を調査したが、2日後で病粒に接した2~3粒まで着菌し、以後次第に多くなり、播種20日後でほ全粒に着菌した。また、粒状培土内に健全種子を相互に接触させて1列に播種し、その一端に籾培養菌を1粒接着させて覆土した。徒長、萎ちょう、枯死苗等の発生は、接種原から3センチ以内にみられ、これより離れた種子では発病しなかった。
  17. 粉状培土、粒状培土等数種を用いて、前項同様に健全種子を接触させて2列に播種し、その一端に接種原を置き、20日間育苗した。その結果接種原から3センチ以内では初発時から経時的に病苗が増加した。播種20日後に外見健全株を相互に隔離して別に移植すると、粉状培土1種を除いて、新たな発病を認めた。接種原から3~6センチ内の苗では、播種後20日以内での発病は少量であり、大部分は移植後に発病した。箱内および移植後の発病は、培土により差がみられた。
  18. 粒状培土2種、粉状培土1種を用い、接種原を中央にして接触させて播種したとき、接種原に近い苗は覆土内で枯死するか、出芽後枯死するものが多く、これより遠い場合は徒長苗か生育不良苗などの軽症苗となった。
  19. 床土内における分生胞子の移動性を知るために粒状および粉状培土を用い、その透過性を試験した。土壌粒子の粗な粒状培土では、培土深3.5センチでもきわめてよく分生胞子が通過するが、粉状培土では全く通過しなかった。また、培土深1、2および3センチでも同じ結果であった。
  20. 土壌温度、土壌湿度と菌の発育を知るため保菌種子と健全種子を接触して播種し、健全粒の着菌によって調査した。土壌温度では25℃で最も発育がよく、次いで20℃であり、30℃では発育しなかった。土壌湿度では60~100%で発育したが、70%で発育がまさる傾向を示した。
  21. 畑苗代における発病苗は、催芽時、不完全葉抽出期、本葉第1葉期および第3葉期の各時期の接種区と、前年出穂期に胞子浮遊液接種で得た種子によるものであった。しかし、本田移植時に外見上健全とみられる苗も、移植後発病する場合がある。本葉4葉および5葉期の接種では、苗代および本田で発病しなかった。
  22. 出穂期に接種した種籾で発病(徒長)した苗の本田移植では、移植後約1か月間に株の枯死、一部茎の枯死等がみられ、さらにこれが穂揃期まで継続した。株内の枯死茎は後に消失するため、外見上健全株となり、回復現象を示す。移植時の健全株では、本田で発病し、約1か月後病株率4.1%となり、さらに穂揃期で7.4%に増加した。
  23. 育苗箱内で集団発病した苗および外見上健全苗を本田移植し、畑苗代育苗のそれらと比較した。移植1、2か月後および登熟期の発病推移は畑苗代育苗とほぼ同様であり本田で新たに徒長するもの、株の一部茎の枯死、全株の枯死および回復株がみられた。
  24. 発病ほ場における分生胞子の飛散を知るため、地上10センチ、20センチに静置式胞子採集器を設置して調査した。胞子は降雨時に採集され、晴天日、曇天日には採集できなかった。胞子形成株に風速5、6、8および11メートルの風をあてた場合、株の乾燥した条件下では胞子飛散がなく、株に水滴を噴霧した場合に飛散した。株上の水滴は風により飛沫となったが、この中に多数の胞子の存在を認めた。
  25. 胞子形成株を関係湿度100%に24および48時間定置したあと、風速8および11メートルの風をあてたが胞子飛散はみられなかった。このとき供試株には水滴形成はなかった。
  26. 胞子形成した罹病葉鞘を長さ3センチに切断し、これを水滴中に1、5、10、30、60および120秒浸漬した。罹病葉鞘上の分生胞子は1秒以上の浸漬で速かに水中に離脱し、5秒以上で顕著に増加する。水は胞子の離脱により白濁するのが観察される。
  27. 罹病株ではその地際部の葉鞘表面まで分生胞子を形成するので、灌漑水量を多くし、水位を高めると、この水中に多量の分生胞子が離脱する。このことで隣接健全株の異常は認められなかった。
  28. 分生胞子形成の旺盛な枯死株に水を注ぐと、株上を流下する水滴中には多数の分生胞子の存在が認められる。
  29. 馬鹿苗病の多発生ほ場に、穂ばらみ期、穂揃期の2回、いもち防除薬剤のカスガマイシン粉剤および水銀粉剤を10アール当り4キログラム散布して収穫した。この種子上のFusarium菌分離率は無散布区およびカスミン散布区で高く、水銀剤散布区で低かった。また、この種子を播種した場合は徒長苗、立枯苗ともカスミン散布区で多く、水銀剤散布区で少なかった。
  30. 出穂期、穂揃期、穂揃10日後、同24日後に分生胞子浮遊液を噴霧接種して得た種子では、出穂期接種区でFusarium菌の分離率が高く、また播種後の発病も多かった。出穂期以後は順次低率の傾向からみて、種子への菌侵入は出穂期を中心に行われるものとみられる。
  31. 同様に出穂直前、出穂期、穂揃期、傾穂期に接種して得た種子では、玄米表面、胚乳、胚芽各部のFusarium菌検出率は出穂期接種が最も高率である。
  32. 1株4本植のうち、病苗を1、2および3本加えて病茎率25、50および75%とした株と、病菌1本植株各50株で構成するほ場を設けて収量調査した。発病の推移は、5月30日移植して7月6日には病株率が8.7~21.3%に減少し、さらに登熟期には2.7~3.7%まで減少した。病苗1本植でも8.0および1.3%と顕著に減少した。穂数も対健全比79~102(株当り)となり、大差がみられない。病苗1本植では115と逆に増加した。このことから、玄米重量で対健全比94、97および101を示し、減収量が少ない。しかし、屑米重は多かった。病菌1本植の収量はこれらより低下したが、対健全比82を示した。減収割合の少ない理由は、枯死株の隣接株が補償作用により株当り玄米重で健全株を上回ったためとみられる。
  33. 施設育苗は一般農家から委託をうけて行うため、大量の種子を取扱うが、そのためには能率の高い消毒作業が必要となる。ベノミル水和剤の乾燥種子粉衣法は効果が劣るが浸漬および催芽に対しては、乾燥種子量の0.5%粉衣および500倍液6~12時間浸漬法で完全に発病を抑えた。この粉衣法は従来の種子浸漬法に比し作業能率が高いので、大量種子の処理に適する。
  34. チウラム、ベノミル剤およびチウラム・チオファネートメチル剤もベノミル剤同様に、催芽種子に粉衣または浸漬したが、根上り、生育抑制等の薬害が発生する。これは両剤に含まれるチウラムによるもので、その発生限界は、粉衣法で15%、20倍液10分間浸漬法で10%以上の成分含有率であった。
  35. このため乾燥種子を用い、0.5%湿粉衣および20倍液10分間浸漬後乾燥してから浸種する方法により、薬害発生を回避できた。消毒効果も十分であった。しかし、消毒種子を水に浸漬する場合は、流水への浸漬や容器内浸漬でも、頻繁に換水すると薬剤が流亡して消毒効果が劣った。
  36. 種子消毒作業の飛躍的向上を図るため、消毒法の改善と処理の機械化を検討した。消毒法は乾燥種子に対する薬液の噴霧法を考案した。使用薬剤は、いもち、ごま葉枯、馬鹿苗病の各罹病種子に適用登録を有するベンレートT水和剤20を主として用いた。
  37. 薬液の噴霧量は種子重の3%が適当でこれ以上では種子の濡れが目立った。この場合の濃度は7.5倍~10倍液でも消毒効果は十分であった。この薬剤量は種子重量1キログラム当り3~4グラムであり、一般に用いられる0.5%湿粉衣法に比して1~2グラム少ない。また、この消毒種子は育苗箱内で発生するRhizopus属菌の発生を抑えた。
  38. 薬液吹付け種子を流水および容器内浸漬後連日換水、2、3、4および5日後1回換水したが、消毒効果の低下はみられなかった。また、5日間毎日換水した場合も同様であった。
  39. この消毒法では、いもち、ごま葉枯病罹病種子に対する消毒効果が、対照法の0.5%湿粉衣、200倍液24時間浸漬法と同等かややまさった。また、育苗箱で多発生し、苗立枯病の原因となるRhizopus, Fusarium, Trichoderma各属菌の種籾への付着を顕著に抑制し、健全苗を多くした。
  40. この薬液吹付け種子を比重1.13で塩水選し、その後常法どおり水洗いして育苗箱に播種したが消毒効果の低下は認められなかった。
  41. この処理種子は薬剤の付着がよく、浸種中の水への溶出量が少ない。9日間の浸種期間中、3日ごと3回換水した場合、ベノミル残存率は、90.8%を示し、0.5%湿粉衣法等にまさった。本処理法の安定的効果の一因は薬剤付着性にあると推察される。
  42. 薬液吹付け種子は処理後一時種籾の水分が上昇する。しかし、処理1~2か月後には次第に減少して処理前の水分にもどる。これらの種子は播種後の生育異常はみられなかった。また、この処理種子を15℃に1か年以上貯蔵したが、消毒効果および生育に対する影響はみられなかった。
  43. この薬液吹付け法を能率的に処理するため種子消毒機を考案した。この機械は1時間に1~1.2トンの種子消毒能力を有する。本機はすでに実用化されている。

寒冷少照地帯における省力高生産稲作のための有機物施用地力維持による乾田直播に関する研究

佐々木信夫・遠藤征彦・櫻井一男・米沢 確・鈴木次男・鎌田信昭・佐々木忠勝・高野文夫

 省力高生産稲作技術確立の一環として、寒冷地の乾田直播を裏作イタリアンライグラス鋤込みによる地力増強を図りながら、玄米収量10アール当り600キログラム水準に接近する稲作技術の解析と組立てを実施した。

  1. 早生品種「ハヤニシキ」を供試し、地力増強の差異による乾田直播水稲の収量性は、イタリアンライグラス鋤込み>堆肥>生わらの傾向が明らかであるが、イタリアンの鋤込みは、一方で乾直水稲の出芽率を低下させ、またイタリアン自体が再生して雑草化するなどの短所もあった。その出芽率の低下には薬剤防除(ダイアジノン10アール当り6キログラム)で向上させることができ、イタリアンライグラスの雑草化はパラコート液剤(10アール当り500ミリリットル)の全面散布による枯殺、および播種後除草剤(B-3015乳+パラコート等)の体系処理でほぼ防除しえた。施肥の効率化には硝抑剤入り肥料又はコーティング肥料が有効であった。
  2. 寒冷地乾田直播の作期幅は、その年次の気候にもよるが、概して狭く、早生種(ハヤニシキ等)で4月5半旬~5月2半旬である。中生種では4月5半旬~5月1半旬程度であるがやや不安定である。なお、銘柄良質品種の大部分を占める晩生種(ササニシキ)では、東北地方北部の寒冷地では安全な作期は策定しえなかった。
  3. 早生品種(ハヤニシキ)をもちいた乾田直播の機械化技術体系の組みたてでは、1977年度 10アール当り568キログラム、1978年度 10アール当り573キログラムの玄米収量をえ、600キログラム水準に接近しうる収量をえたが、春季多雨年(1977年)の適期作業制約や、イタリアンライグラスの越冬不良・不斉生育による地力むら、鋤込み(プラウ)・整地(ロータリー)等の乾田直播基盤の均平な仕上げ、並びにイタリアンライグラス再生の防止に労を多く要するなどの問題点ものこされた。

東北2毛作限界地帯における小麦・大豆1年2作体系技術の確立

高橋康利・新毛晴夫・大清水保見・折坂光臣

  1. 小麦・大豆の1年2作体系は既存の品種、技術では岩手県においては不可能であるが、小麦あとの大豆栽培期間が100日を超える県南地域においては生態型Ibの極早生大豆の導入によって可能であり、また、生態型IIcの移植でも可能である。
  2. 早生小麦は耐寒雪性において弱いものが多く、体系用として既存の早生品種ナンブコムギに勝るものは今のところ見当らない。また、幼穂分化、出穂期等が早まってもそれはど成熟期が早まらないことが分り、大幅な早生化は難しい。
  3. 県南地域における小麦の安全晩播限界は、10月20日~25日である。安定収量を確保するための越冬前葉数は4~6葉必要である。4葉確保には出芽後3℃以上の有効積算気温150℃を要す。
  4. 小麦・大豆体系における大豆の移植栽培は、品種では生態型IIcのナンブシロメが熟期、収量からみて安定しており、極早生大豆直播並の収量が可能で、移植時期、葉齢等について明らかにした。しかし、大豆の移植栽培は育苗、移植に労力がかかり、晩植での機械移植も困難なので直播に比べ実用性は劣る。
  5. 小麦あとの極晩播大豆について検討した結果、生態型Ib~IIaの極早生大豆の導入が有望であった。この場合7月上旬播種で10月中旬に成熟期に達し、200キログラム以上の収量が期待できる。多収特性としては最繁期乾物重が大きく、子実生産効率が高い。
  6. 極早生大豆のなかではワセスズナリの実用性が高く、小麦・大豆体系用として奨励品種に編入した。晩播大豆ワセスズナリは栄養生長期間の生育量が収量につながり、初期から生育を旺盛にすることが多収に結びつく。そのためには窒素の増肥が有効であった。また、晩播限界、好適栽植本数について明らかにした。
  7. 麦稈の分解と作物への影響を調査し、麦稈すきこみによって初期生育はやや劣るが、しだいに生育が良くなり基肥窒素を増肥することによって、麦稈搬出並の収量が可能となる。また、麦稈の畑土壌中における分解について明らかにした。
  8. 以上の個別技術を組み合わせ場内転換畑で1年2作体系を実証した結果、4か年平均収量は小麦475キログラム、大豆241キログラムで小麦は連作区より高かった。現地で実証した結果も小麦400キログラム、大豆200キログラム以上の収量を確保でき、水稲並の所得をあげることも可能になった。
  9. 実証試験の結果と気象データ等から県内における小麦・大豆体系の適応地帯を区分した。

畑作物の連作障害と作付体系に関する研究

佐々木健治・高橋康利・佐藤忠士

 本報告は1973年から場内(一部現地)圃場において実施した連・輪作試験および作付体系試験について、主として耕種面から検討した結果についてとりまとめたものである。

  1. ばれいしょ、畑稲、大豆を長期間連作すると、その収量推移は輪作対比で、畑稲、大豆でほぼ直線的な減収パターンをとる。これに対しばれいしょは輪作収量を下回るものの、その範囲は64~105%で推移し、連作による減収割合は小さい。
  2. 各作物の主要な連作障害としては、ばれいしょでそうか病、畑稲では立枯性障害、大豆ではシストセンチュウの発生がそれぞれ観察された。
  3. 連作初年目に燐酸資材投入による土壌改造はばれいしょ、畑稲、大豆に対する減収軽減効果はみられなかった。またばれいしょでは土壌改造により、そうか痛が著しく増加した。
  4. 連作8年目における堆厩肥の施用効果は、大豆、ばれいしょで減収割合が幾分抑えられたものの、畑稲では逆に助長された。
  5. シストセンチュウの被害が増加した連作大豆に対し、抵抗性品種ナンブシロメを導入することにより、輪作対比で89%の収量低下にとどまり顕著な効果がみられた。
  6. 連作大豆、畑稲に対する土壌消毒剤デトラペックス処理の障害軽減効果は極めて高く、輪作対比でみるとそれぞれ84%、93%まで収量の回復がみられた。
  7. 立枯性障害の発生した短根にんじんの連作4年目の圃場で、深耕、堆肥多投、青刈りエンバクのすき込みを行ったが、いずれの処理も効果は小さかった。
  8. 連作による減収パターンの地域性をみると、北海道、青森県、岩手県と気象、土壌、耕種の各条件は異なるものの、連作10年間のばれいしょの減収は各場所とも20%程度の範囲にあり、一定の類以性がみられた。しかし大豆については三場所とも異なる減収パターンを示した。
  9. 連作レタス、短根にんじんの急激な収量、品質の低下は概ね3~4年目頃から認められ、レタスでは根こぶ線虫、短根にんじんでは初期の立枯性障害による欠株の発生が観察された。
  10. レタス、短根にんじんに大豆、とうもろこし、小麦などの普通作物を結合した作付体系の収量は、いずれも連作の収量を上回るものの、普通作物の種類および組み合せ回数と収量の関係については明らかに出来なかった。
  11. 輪作作物として大豆を前作に組み入れた場合、後作の雑草量が著しく減少しており、耕種的除草上有効な作物である。
  12. 現地における作付体系試験は効果の評価が難しく、4年間の結果からは野菜の輪作作物として大豆、小麦導入の積極的効果は確認出来なかった。

[資料]奨励品種編入に関する資料

水稲(うるち)「たかねみのり(秋田32号)」(昭和60年1月)

(摘要なし)

大豆「スズカリ(東北69号)」(昭和60年1月)

(摘要なし)

小豆「ベニダイナゴン(十育113号)」(昭和60年1月)

(摘要なし)

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