岩手県立農業試験場研究報告 第5号

ページ番号1041686  更新日 令和3年4月15日

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湿田の乾田化に伴う生産技術解明に関する試験

菊池猛雄・鎌田嘉孝・大川 晶・佐々木昭四郎・佐々木信夫・増戸靖久・大槻 斎・佐藤正栄・高橋藤五郎

 区画整理・暗渠排水及び用排水路整備は、土地改良事業の一環として、従前より重視され実施してきたのであるが、最近では一般産業の急速な発展と関連して農業構造改善が提唱されて以来、圃場基盤整備の基本条件として益々その重要性が叫ばれてきている。特に湿田の乾田化は、こうした社会経済的な意義は勿論、裏作もそれほど進展していない北部東北地方では、その主作物である米の生産と密接な関連をもつものとして重要視されてきている。しかし従来の施行跡地でも、暗渠排水-排水良化-増収という一連の関係は必ずしも実現されていない場合もあったが、これは暗渠施行技術の問題、水稲に対する耕種、肥培技術の不適切から招来されるものである。本試験でもこの点に留意し、暗渠施行後における土中水の行動並に土壌の諸性質の変化を追及し、これらによってもたらされる水稲の生育相を通じて、乾田化の意義を明らかにし、施行後の管理技術及び今後の暗渠施行方法のあり方を究明することに焦点をおいたものである。

 そこで、当岩手県胆沢平野に分布する種々の水田土壌について、透水・肥沃度を規制する因子としての地形・地質及び堆種様式について概査を行った結果、本地域にはいわゆる典型的な湿田の存在は狭少であるが、排水不良が水稲生産増強のための阻害因子となっている地帯としては、(1)礫層土壌型、(2)泥炭土壌型、(3)グライ土壌強粘土型に三大別され特に(2)型と(3)型の分布が広いことを明らかにした。このような土壌Typeの相違は自ら排水不良の原因が異っており、この相違に基づいた暗渠施工法が必要である。即ち泥炭地では土壌自体の透水性は良好であるので、むしろ地形的な要素を充分に考慮した明渠を基本として、これと暗渠を併行させる必要があり、重粘地では、その土性並びに堆積様式を重視して、これと地形を考慮した暗渠の施行が必要であることを明らかにした。

 特に重粘地では、施行後乾田化に数年を要したり、又排水可能としても5~7日を要するのでは、その意義は極めて少ないものと思われ、施行後1~2年で乾田化し、且つ1~2日で排水可能な施工法が必要である。これには機械排水水及び用水確保が附随的な問題として当然起きてくる点である。

 更に耕種・肥培管理のあり方としても、特に土壌肥沃度を支配する母材的因子と土壌有機物量が関係が深く、これと透水及び土壌乾燥による影響をも考慮し、土壌Typeに応じてこれらの補給・調節の重要性と、排水管理を幼穂形成期以降に重点をおくべきことを確認した。

 このようにみると、乾田化の意義を要約すれば、透水と土壌の乾燥であり、これによりもたらされる種々の因子によって、従来湿田では、人為的管理の介入する余地の全くないか、或は極めて少なかったのに反し、人為的管理の介入の余地が極めて大となり、これによって生育相を可変的になし得るところに意義があるものと思われる。

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