岩手県畜産試験場研究報告 第21号

ページ番号1041722  更新日 令和3年4月16日

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高能力牛の低コスト哺育育成技術体系の確立

住川隆行・渡辺 亨・渡辺芳明・山口純二・大宮 元・帷子剛資・杉若輝夫・谷藤隆志・梶田敏彦

  1. カーフハッチは7年経過でも十分使用でき、飼養試験でも0.62kg/日の増体が得られた。
  2. スーパーカーフハッチとしてビニールハウスを利用した。飼養試験では0.62kg/日の増体が得られたが、少し低めであった。
  3. 放牧の刈り取り調査の結果、放牧時期を早くし、滞牧日数・休牧日数を短くするなど短草利用を心がけ、放牧回次ごとの放牧圧を余り高めないことで、放牧期間延長がなされ、結果的に放牧牛全頭の期間増体の合計も改善された。
  4. 高標高放牧、高標高急傾斜放牧においては、高標高は放牧牛に与える影響は少ないと考えられるが、急傾斜は影響が強いと考えられた。
  5. 試験牛の305日補正乳量は、対照区にくらべわずかながら上回ったが有意な差ではなかった。
  6. 試験区のコストはカーフハッチ-スーパーカーフハッチの利用により施設費が安価になり、放牧によりかなりの夏季間のコスト低減が図られる。
  7. 公共育成牧場調査の結果、技術的な問題よりもむしろ労働性の改善、立地条件の改善などが大きな問題であった。技術的な問題で大きいのは雑草の混入と放牧病の防除であった。

寒地寒冷地における系統間交雑豚の季節対応型飼料給与方式の確立

吉田 力・佐藤直人・下 弘明・鷲盛 精

1. 肥育前期の蛋白質(リジン)要求量
 岩手系系統間交雑豚LW・Dの体重30~70kgの肥育前期の蛋白質(リジン)要求量について、TDN77%でCP(リジン)が9.83(0.420)~17.93(0.921)%のCP含量が均等な幅の5種類の飼料を雌19頭、去勢19頭に給与して、比較屠殺法により性別に検討した。体重30kgでは枝肉構成に性による差はなくCMR、CFRおよびCBRはそれぞれ62.2%、21.4%および16.4%であった。

 必要とするLCは、試験区の比較から雌では19.1グラム、去勢では22.6グラムであり、体重70kgのCMRの上限は雌では62%、去勢では58%であった。DCMGはDLIの2次式で推定することができ、そのR2は雌で0.79、去勢で0.89であった。DCMGを最大にするDLIは推定式から雌では21.4グラム、去勢では27.9グラムであった。実測値の分布傾向から雌では18.0グラム、去勢では24.0グラムの目安のDLIが得られた。

 DLIとDTIの2次式でDGを推定する式のR2は雌では0.85、去勢では0.86であった。DGおよびDCMGの推定式を用いて、DTI、DLIから体重70kg時のCMRを試算した結果、雌ではDTI2.00kg、DLI18.0グラムのときDG、DCMG、体重70kg時CMR、LCおよび必要とする飼料のCP(リジン)含量はそれぞれ852グラム、340グラム、62.0%、21.1グラムおよび14.2(0.692)%であった。同様に、去勢ではDTI2.15kg、DLI24.0グラムのときそれぞれ962グラム、329グラム、56.9%、24.9グラムおよび16.9(0.860)%であった。

 これらのことから必要とするLCは雌では19~21グラム、去勢では23~25グラムであり、飼養標準の20グラムに対して雌では概ね充足するものの去勢では3~5グラム程度増給する必要のあることが示された。

2. 肥育後期の蛋白質(リジン)要求量
 体重70~108kgの肥育後期の蛋白質(リジン)要求量について、肥育前期と同じ飼料を雌18頭、去勢17頭に給与して比較屠殺法により性別に検討した。

  1. 体重70kgの初期屠殺区のCMRは雌で61.0%、去勢で58.2%であり、肥育前期試験のCMRの上限値に近似した値であった。
  2. 体重108kgで屠殺したときの格付成績はCMRが53~56%で上物率が高い傾向にあった。
  3. 雌ではCP11.86%、リジン0.545%の飼料給与区がDG1,043グラム、DCMG335グラム、CMR55.8%およびLC17.6gで格付上物率100%であった。蛋白質(リジン)濃度をさらに高めると、CMRは57%台まで高まったが格付成績は薄脂等によって低下する傾向にあり、DG、DCMGも改善されなかった。
  4. 去勢では、CP15.91%、リジン0.796%の飼料給与区がDG1,084グラム、DCMG413グラム、CMR54.8%およびLC24.5グラムで格付上物率も100%であった。蛋白質(リジン)濃度をこれ以上に高めても改善されなかった。
  5. DLI、DTIからDG、DCMGを推定する式のR2はDGでは雌で0.89、去勢では0.84であった。DCMGは雌ではDLIの2次式で説明でき、このときのR2は0.71でありDCMGを最大にするDLIは25グラム、また実測値の分布から18~20グラムという目安の値が得られた。去勢のDCMGはDTIとDLIの1次式でR2は0.67の推定式が得られた。DTIが2.9kgを超えるとDLIに対するDCMGの反応が大きく低下する傾向にあり、飼料摂取量を制御する必要のあることが示唆された。
  6. 肥育終了時のCMRを54~56%にするためには、DGに占めるDCMGの割合を雌では30~34%、去勢では32~36%する必要があった。これを達成するためのDLIは雌ではDTIが2.4~2.6kgのとき16~22グラム必要で、このときのLCは18~21グラムと試算された。去勢ではDTIが2.8~2.9kgのときDLIは23~32グラム必要で、このときのLCは21~30グラムであった。

 以上から格付成績を考慮した場合の必要とするLCは雌では18グラム、去勢では24グラム程度と考えられた。

3. 季節別適正飼料構成
 冬期と夏期における季節別の適切な飼料構成を求めるために、岩手系系統間交雑豚LW・Dの雌28頭、去勢34頭を用いて検討した。

  1. 冬期の適正飼料は、雌では肥育前期はTDN77%、CP15(リジン0.69)%、肥育後期はそれぞれ77%、13(0.57)%、去勢では肥育前期は77%、17(0.81)%、肥育後期は73%、16(0.62)%と考えられた。
  2. 夏期の適正飼料は、雌では肥育前期はTDN77%、CP15(リジン0.65)%、肥育後期はそれぞれ73%、15(0.69)%、または肥育前期TDN77%、CP16~17(リジン0.8)%、肥育後期TDN77%、CP13~15(リジン0.6)%、去勢では肥育前期TDN77%、CP17~18%(リジン0.9)%で肥育後期TDN73%、CP15(リジン0.69)%と考えられた。

4. 肉豚の榎肉構成と格付の関係
 現状の豚枝肉取引規格の目指している枝肉構成を明らかにすることを目的に、体重105kg以上で皮剥ぎ法によって屠殺処理されたLW・D豚100頭を用いて枝肉中筋肉割合(CMR)と格付の関係およびCMRと部分肉歩留の関係について検討した。

  1. 格付等級別の頭数は、「上」59頭、「中」30頭、「並」10頭および「等外」1頭であった。
  2. 背脂肪厚が1.6~1.8cmで上物率は85%で最も高かったが、枝肉重量と背脂肪厚以外の数値化されていない項目で30%が格落ちしていた。
  3. CMRが54~56%のときに上物率は100%で、CMRを指標にすることにより極めて精度良く上物率を狙えることが明らかとなった。
  4. 部分肉中の筋肉割合と脂肪割合は74.5%、25.5%で、CMRが54~56%のときの部分肉歩留は72.5~75.2%と試算された。

5. 肉豚の生体重70および108kg時における枝肉化学組成による枝肉構成成分の推定
 枝肉の化学組成と組織構成の関連性を明らかにするため、肥育前期終了時の体重70kgと肥育仕上げ時の体重108kg時において、枝肉の化学組成から組織構成割合をどの程度の精度で推定できるかについて、LW・D豚60頭を用いて検討した。

 水分、粗蛋白質および粗脂肪の割合を説明変数として、筋肉割合および脂肪割合を推定する式の寄与率は0.90~0.96、残差標準誤差は0.99~1.18であった。組織構成割合と化学組成の関連性は、筋肉割合は体重70kgでは水分割合の1.24倍、粗蛋白質割合の3.91倍および粗脂肪割合の-0.92倍であり、体重108kgではそれぞれ1.04倍、2.93倍および-0.77倍であった。脂肪割合については、筋肉割合の場合と符号を反対にしてほぼ同等の倍率であった。骨抜き枝肉の化学組成から骨を含む枝肉の筋肉と脂肪の割合を推定する式の寄与率は0.91~0.95で、残差標準誤差は1.08~1.24であった。

6. 発育にともなう豚枝肉の筋肉、脂肪および骨の化学組成の変化
 発育にともなう豚枝肉の組織構成と組織毎の化学組成の変化を明らかにするため、体重30、70および108kgにおいて皮剥ぎ法で屠殺処理した33頭の枝肉を用いて検討した。発育にともなう変化は以下のとおりであった。

  1. 筋肉割合と骨割合が減少し、脂肪割合が増加した。
  2. 水分は、全ての組織において減少するが、その変化の度合いは、肥育前期>後期、脂肪>骨>筋肉であった。
  3. 粗蛋白質は筋肉と骨で増加し脂肪で減少した。
  4. 粗脂肪は全ての組織において増加するが、脂肪での増加が顕著であった。
  5. 粗灰分は筋肉と骨で増加し脂肪で減少したが、骨における変化が顕著であった。
  6. 性間の比較では、雌は去勢に対して筋肉、脂肪および骨の水分が多く、筋肉と骨の粗脂肪が少なかった。
  7. 枝肉全体では、水分と粗蛋白質が減少し粗脂肪と粗灰分が増加した。水分の減少と粗脂肪の増加が顕著であった。また、肥育前期での変化が肥育後期の変化に比べて大きい傾向にあった。

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