岩手県畜産試験場研究報告 第14号

ページ番号1041765  更新日 令和3年4月19日

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ビッグ・ラウンド・ベーラを利用した乾草の収穫利用技術

平野 保・瀬川 洋

1 牧草天日乾燥進度の定量化

  1. 乾燥進度を早めるには、フレイル型モーアを利用するか、レシプロ型モーアで刈取の後にフレイル型ハーベスタを掛けることで、茎が砕砕されて効果が大きかった。
  2. 牧草の天日乾燥は主に日射量に規制されて進むことが明らかであり、時期的に差が生じることについては、牧草の形態的な変化によるものであると説明できると思われた。積算日射量と含水率減少との関係は、前半と後半の2段の直線で示された。
  3. 牧草の乾燥進度の予測のために、積算日射量に規制されて低下する含水率との関係図を草量の多少と時期別に画いた。

2 ベーラの作業性能とロール乾草の運搬収納法

  1. ビッグ・ラウンド・ベーラは、乾草拾上げとかき込み能力が高く、前作業の集草をサイド型レーキで幅90~120cmに、長さ1メートル当たりの草量を2.5~3kgにすることで、約500kgのロールを時間当たり10~12梱作る高い能率が得られた。
  2. 傾斜草地では、自重3.8トン、90馬力級の四輪駆動トラクタを用いることで、登坂作業に限り20度まで、登降坂作業で16度まで、等高線作業で8度まで適応が可能であった。
  3. ロール乾草は多少の雨を被むっても影響が小さいことから、ベーラ作業とその後の収納・貯蔵作業を分離して後日に回し、ベーラ作業可能日の仕事量の拡大と期間中の稼動効率拡大が図られた。ハンドリングにはトラクタ前装型のフロント・ローダを一部改良して用いるのが便利で、ロール乾草を草地から搬出して野外貯蔵する作業は、2人組作業で1人時間当たり1,319kgの高能率であった。

3 ロール乾草の貯蔵法および給与法

  1. ロール乾草の野外で損失少なく良く貯蔵するには、降水を断つカバー・シートの他に地面からの蒸散水を断つアンダー・シートも使うことが有効であった。フロント・ローダの使用で能率良く3段積みが可能で、下段から3ロール、2ロール、1ロールと山型に積み、これを良く連ねる方法が良好であった。
  2. 日射によってロール自体からの蒸散と堆積内の水分移動が生じるため、貯蔵当初には晴天日にカバー・シートを外して水分を放散させることが、品質を良く保持する上で有効であった。
  3. 含水率が25%を越すロール半乾草は、地面に垂れるほどのカバー・シートを用いて、アンダー・シートと合わせて密封する方法で良質な低水分梱包サイレージとすることができた。この場合、ロール寸法は最大値の70~80%にして、ロール重量の軽減を図った。
  4. ロール乾草をそのまま給与できる草架を移動式と定置式で製作した。草架は2ロールが並ぶ寸法として、牛が草架の両長辺サイドからロールの側端部に食い付く形にすることで、採食が良好に行われ、乾草のこぼれ損失も極く少なくできた。
  5. 回転テーブル式のロール乾草解体機を製作した。回転動力はエンジンにより、正逆転変更ギアを付け、上からロールを支える支柱や解れ位置を規制するためのガード板などで構成した。
  6. 試作した解体機を用いてロール乾草を解体して、同時にコンパクト・ベーラを用いて再梱包する作業は、4人の組作業で行なうことができた。1ロールの解体から再梱包の時間は約10分であった。

4 ロール半乾草のアンモニア添加処理

  1. サイレージ化と同様の方法でロール半乾草を堆積し、被覆して、ボンベからゴムホースで導いて注入することで、アンモニアは良く添加することができた。注入されたアンモニアはガス化して堆積内に充満するが、比重が小さくて上部に偏るため、堆積の下段ロールのそれぞれに注入する必要があった。
  2. アンモニア添加量を、含水率25%程度までの半乾草に乾物量比1%、含水率35%程度までで2%、含水率45%程度までで4%として、約1カ月程度密封貯蔵することで、半乾草はその後かなりの期間の好気的貯蔵が可能となった。添加サイレージには栄養成分としてのNが付加され、同時に乾物消化率が向上した。

5 全体の作業技術体系
 ビッグ・ラウンド・ベーラを利用して乾草あるいは半乾草を梱包し、貯蔵から給与に至る作業方式を、図33に示すように組立てた。

若齢林地への間伐牧草導入による牧養力と放牧効果

久根崎久二・笹村 正・小針久典・菅原休也・蛇沼恒夫

 アカマツ、カラマツ造林地に日本短角種繁殖牛を放牧することにより、下刈省力と良好な家畜生産が得られ、植林後2年目から最初の除間代の時期に当る、およそ13年生林まで継続した林業と畜産の共存の土地利用の実用性が伺われた。この実験では、林床の放牧利用を更に延長するため、除間伐期に強度を変えて間伐を行い、野草の培養や林床への牧草導入による牧養力の回復、増大と放牧効果について検討した。

1 間伐による草生産量と牧養力

  1. 除間伐期を迎えた14~15年生カラマツ林地の間伐による林床野草量(牧養力)は4カ年平均で10アール当り、標準間伐340kg(2.3CD)、中度間伐480kg(3.2CD)、強度間伐610kg(4.1CD)となり、強間伐ほど牧養力の改善効果が大きい。
  2. アカマツ、カラマツ若齢林地に間伐後牧草導入を行うことによる草生産量(牧養力)はおよそ標準間伐900kg(6.0 CD)、中度間伐1,600kg(13.2CD)、強度間伐2,250kg(22.5CD)である。施肥効率の上からも強度の間伐が必要であろう。

2 間伐強度の違いによる林木の生育と被害

  1. カラマツの生育は間伐度を強めると胸高径が増し、樹高がやや劣る傾向を示すが、強度の違いによる大きな差は認められなかった。
  2. 放牧、禁牧による差と牧草導入による林木の生育差は認められなかった。
  3. 若齢林地では肉牛放牧による林木被害は認められなかったが、間伐度を強めると異常降雪による傾斜木、折れ木の発生が多くなる。
  4. 林木の生育や形質等に及ぼす影響など育林面から15年生林あたりでの除間伐は30~35年生林の残存本数に相当する中程度の除間伐にとどめるべきである。この場合、施業は列状間伐より劣勢木を主とした抜き切りとする。

3 草生林における肉牛放牧効果

  1. 林畜複合牧区の放牧期間中の子牛の日増体量は、日本短角種0.735kg、黒毛和種0.604kg、へレフオード種0.497kgで、対照人工草地と遜色なく、むしろ良好な発育が得られた。
  2. 中度間伐草地の施肥適量は(20-10-10)肥料で10a当り30kg相当であり、間伐草地の放牧利用年数を10年と仮定すると、畜産サイドで負担する直接経費は1CD当り380円となるが、補助事業等の導入により1CD当り200円程度での放牧が可能と推察される。

 以上、利用度の低い高標高、奥山のカラマツ、アカマツ造林地も肉牛の牧牧により、林畜のあい補なった有効利用が可能であることが示唆された。

豚の肉質に影響を及ぼす環境要因

仁昌寺博・秋田富士・村田亀松

 屠殺前後の環境要因と肉質との間の間係を検討するためにランドレース種去勢雄203頭、大ヨークシャー種去勢雄290頭を供試した。重回帰分折で屠殺前後の環境要因により肉質に関する主要形質の分析を推定した結果、8.2~2.34%を説明できた。特に肉質判定の際に重要と思われる48時間pH、明度、保水力、硬さについては既ね16.1~23.4%を説明できた。

 肉質に対して天候等の自然条件よりも人為的に調節可能と思われる、競合による傷の程度、同時出荷頭数、屠殺日齢、肢蹄の異常の程度等の要因が比較的大きく影響していた。

 主要な環境要因の多くは筋肉グリコーゲンの消長に関与して肉質に影響を及ぼすものと推察された。

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