岩手県畜産試験場研究報告 第9号

ページ番号1041791  更新日 令和3年4月19日

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山地における落葉広葉樹林帯の草地開発方式

戸田忠祐・久根崎久二・佐藤勝郎・落合昭吾・及川稜郎・太田 繁・帷子剛資・漆原礼二・阿部 誠・平野 保・桜田奎一・新渡戸友次・斉藤精三郎

 沼田によれば落葉広葉樹林帯は、気候帯からは冷温帯、垂直分布からは山地帯の極相として成立するという。放牧利用の長い歴史がある山地の自然牧野では、近年樹林化がすすんで牧養力の低下が問題になってきた。その結果、野草地の草地造成が急速に進んだが、放牧コストの上昇、牧場収支のアンバランス、ミネラルバランスに起因する疾病が発生するなど、新たな問題がでている。本研究では、このような問題解決に対処するため、放牧地におけるバランスのとれた牧草地、野草地、樹林地の組合せ割合と利用技術、さらに天然林の間伐による草地造成方法について明らかにしようとした。
 試験には実用規模に相当する土地と家畜を用い、5ケ年研究した結果、次のような成果を得た。

  1. 伐採地ごしらえの作業歩掛りからみて、幼令林は面積の大小にかかわらず皆伐する(必要な林分は帯状に残す)壮令林では中小面積なれば間伐で良いが大面積は皆伐する。
  2. 牧草と野草を同一牧区に組合せると野草の利用が高まり、放牧牛へのミネラル給源としての効果が認められた。牧草を組合せる割合は野草の適正な利用率を維持することを前提にして萌芽かん木化の程度に応じ、10~20%から40~50%に巾を持たせる必要がある。
  3. 放牧地に帯状に配置した保全林帯の効果は、水流出の抑制に対して±、土砂流出の抑制に+、夏季の家畜にとっての庇蔭効果は+++であることが明らかになった。
  4. 野草地組合せ牧区の牧糞力ではY=2.35X+45.8(Y=カウデー、X=牧草地率%)の式が得られ、草地率20%では概ねヘクタール当り100カウデーが維持されることが知れた。
  5. 間伐草生林地の土壌は膨軟で保水性が改善されること、牧草の夏枯れが防がれることが明らかになった。しかし過度な庇蔭は収量の低下とK/Ca+Mg当量化を悪化させるので、立木は地表うっペい度で25%以内に均等に分散させる必要がある。

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