「がんばろう!岩手」意見交換会(平成23年12月1日 釜石)

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ページ番号1000905  更新日 平成31年2月20日

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写真:懇談会の様子1

日時

平成23年12月1日(木曜日)

場所

釜石市平田地区サポートセンター

出席者

  • 参加者(敬称略)
    阿部 富雄(平田第5仮設団地自治会長)
    猪又 マサ(平田第6仮設団地住民)
    鹿野 順一(NPO法人@リアスNPOサポートセンター代表理事及びNPO法人いわて連携復興センター代表理事)
    上野 孝子(平田地区サポートセンター センター長)
  • 県側
    達増知事
    中村沿岸広域振興局長
    廣田復興局副局長
    稲葉秘書広報室長

開会

中村局長
皆さん、おばんでございます。今日は、お忙しい中、御出席いただきまして大変ありがとうございました。ただいまから県政懇談会「がんばろう!岩手」意見交換会を開催させていただきます。
私は、本日の進行を務めさせていただきます沿岸広域振興局長の中村でございます。よろしくお願いをいたします。

知事あいさつ

中村局長
それでは、初めに達増知事からごあいさつを申し上げます。

達増知事
皆様、おばんでございます。さまざまお忙しい中お集まりをいただきましてありがとうございます。
また、東日本大震災津波、改めてお見舞いを申し上げます。先日、11月には、国の震災対策の大規模予算、補正予算が決定しまして、また岩手県でも三陸鉄道の復旧工事スタートでありますとか、復興道路の工事スタートでありますとか、さまざま復興に向けて大きな前進があったところであります。企業向けの二重ローン対策の岩手産業復興機構というものが立ち上がったりですとか、また水産業関係でも漁港の被害の査定という漁港復旧に向けての動きが大きく前進をしまして、国のほうでもこの釜石についても計画工程表を作成、発表をしたりなどなど、さまざま進んでいます。しかし、復興の基本は、一人ひとりの生活、仕事の復旧、復興ということでありますし、またどんどん寒くなって、冬が本格化する中で、いわゆる被災者生活支援というところはきちんとしていかなければと思っています。このことは、国の復興構想会議が11月に開かれまして、そこでも復興構想会議のメンバー、また政府からも冬対策ということ、政府全体でもきちんと対応しなければならないという意識がありまして、県でもこちらであれば釜石市さん、沿岸市町村と協力をしながらしっかり対応をしていかなければと思っております。岩手県だけで仮設住宅は1万3,000戸。そこに3万1,000人の方々がお住まいでありますし、また民間住宅、公営住宅含めますと4万3,000人の方々が被災生活、さらに御自分のうちに住んではいるけれども、かなり壊れて、またいろいろ流されて不自由な生活を強いられている、そういう方も含めると被災者という方、本当たくさんいらしたり、その被災者の方々、被災者生活支援ということの対象であると同時に、実は復興の主人公で復興の主体でもあり、仮設住宅というところは生活支援の拠点であると同時に、復興に向けての前線基地だと思っております。まずは、一人ひとりの安全と健康を確保するというところが、まず最低限基本でありますけれども、そこからスタートしてこの後住むところの確保、そして人によって働くところでありますとか、勉強するところでありますとか、またさまざまな社会生活、そういったところに進んでいくことができるよう復興の前進基地としてきちんと機能するようしていくことが大事だと思っておりますので、そのために今日はいろいろ参考になるお話を聞くことができればと思ってやってまいりました。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

中村局長
ありがとうございました。
それでは、本日御出席をいただいております皆さんを私から御紹介をさせていただきます。
手元に名簿をお配りさせていただいておりました。最初に、平田第5仮設団地の自治会長をされております阿部富雄様でございます。

阿部富雄
阿部でございます。よろしくお願いします。

中村局長
続きまして、平田第6仮設団地にお住まいになられております猪又マサ様でございます。

猪又マサ
よろしくお願いします。

中村局長
それから、@リアスNPOサポートセンターの代表理事をされております鹿野順一様でございます。

鹿野順一
鹿野です。よろしくお願いします。

中村局長
続きまして、平田地区サポートセンターのセンター長をされております上野孝子様でございます。

上野孝子
上野でございます。よろしくお願いいたします。

中村局長
県側を御紹介させていただきます。
先ほどあいさつを申し上げました達増知事でございます。

達増知事
よろしくお願いいたします。

中村局長
それから、廣田復興局副局長でございます。

廣田副局長
廣田でございます。よろしくお願いします。

中村局長
続きましては、稲葉秘書広報室長でございます。

稲葉室長
よろしくお願いします。

中村局長
それから、オブザーバーといたしまして野田釜石市長さん。

野田市長
どうぞよろしくお願いします。

中村局長
それから、県議会議員の小野共先生。

小野共県議
おばんでございます。

中村局長
それから、岩崎友一先生でございます。

岩崎友一県議
よろしくお願いします。

中村局長
以上のメンバーで、本日意見交換を進めさせていただきます。よろしくお願いをしたいと思います。

懇談

写真:懇談会の様子2

中村局長
それでは、早速懇談のほうに移らせていただきたいと思います。それでは、最初本日御出席いただいた4名の方々から順番にそれぞれ自己紹介を兼ねまして、最初お一人大体5分程度をめどに皆さんが復興や支援のために取り組まれていることなどをお話をいただければと思います。
また、猪又さんには、仮設住宅で生活をされているということですから、その生活の中で感じていることでありますとか、気をつけられているなどがありましたらお話をいただければと思います。
それでは、名簿順に阿部さんからお願いを申し上げます。

阿部富雄
平田第5仮設、通称平田球場仮設の自治会会長を務めさせていただいております阿部と申します。どうぞよろしくお願いします。
私は、震災前は、4人家族でしたが、津波で自宅は全壊し、妻と娘を亡くしました。仮設へは、8月より入居し、4カ月ほどたちます。1Kの部屋に1人で暮らしており、生活にもやっと慣れた感があります。
さて、当自治会は、10月末に設立、発足し、1カ月ほど経過しました。12月1日現在で世帯数36、入居者数は64名ほどと紹介欄に書かれている数よりは増えております。入居率は90%近くになります。設立の必要性は、ひしひしと感じておりまして、発足して1週間くらいで早急にすべきことを実践に移し、ルールづくりをしました。4項目ほど実施しました。
1、駐車スペースのライン引き、2、ごみ置き場の掃除当番制、3、ゴーヤのプランターとネットの撤去、移動、4、住民のアンケート調査、これは大きく3つに分けて住環境、仮設周辺環境、住民交流についてのアンケートであります。結果、住民交流については、できていないが70%ほどありました。これに関しては、自治会として強く受けとめております。
さて、復興への暮らしに向けて、自治会として現在取り組んでいることは3項目ほどあります。1、ごみ置き場の掃除当番制の継続実施。1回ごとの交代なので、現在はスムーズにトラブルもなくできているようです。ただ、捨て方として、市の指定のゴミ袋を使わなかったり、住所、氏名が書かれていないものもあるようなので、徹底するようにしたいと思っております。
2、資源化報奨金の利用。これは資源ごみのリサイクルです。当自治会は、基本的には会費はなしとして活動しております。したがいまして、運営費を捻出すべく、この活動に力を入れていきたいと考えております。
3、便利隊の編成。支え合いの精神をもとに、自治会の一組織として編成しました。これは、生活上、老人や女性でできないことをかわりにしてあげることであります。例えば電球や蛍光灯の交換、断熱気泡シートの張りつけ、あとこれからの雪かきなどです。先日は、さおの長さの調節を依頼されて、やってあげ、喜ばれたそうです。
以上であります。

中村局長
ありがとうございました。
それでは、続きまして猪又様からお願いをいたします。

猪又マサ
猪又マサです。今回の津波の日は、私の誕生日の日でもあって、そして、家と貸しアパート、主人までも亡くしてしまいました。そして、余りにも被害が大きく、現状を見ているのが辛くて花巻にお盆前までお世話になっておりましたけれども、とても私のほうが病気になりそうで、仮設の第2次募集があるということをお聞きして、そして申し込んだらこの第6仮設が当たって、今お世話になっているところでございます。花巻では誰も知っている人がいないというところも落ち込みが大きくて、やっぱり何人でも知っている人のほうに行ったほうがいいということ、子供たちの意見もあって、そして今ここにお世話になっております。
仮設に住んでいるということに対しては、今まで住んでいるところがスーパーも近く、三鉄の駅も近く、不自由はありませんでした。今おかげさまでこの第6仮設に住むことになって、近く店舗も来るようで、特別に不自由した生活はないと思っております。
あとは、知らない人が多いけれども、これは時間をかけてコミュニケーションをとってお世話になり、お互いに話し合って交流を持っていきたいと思っております。仮設には問題ありません。ありがとうございます。よろしくお願いします。

中村局長
ありがとうございました。
では、続きまして、鹿野さん、お願いをいたします。

鹿野順一
釜石でまちづくりのNPO活動をしております鹿野と申します。本来は、海に近いところの商店街の商業者です。被災以前からこの地域が抱えていた中心市街地の空洞化というふうなものと商店街のまちづくり活動を通じて何とかしようという活動をしておりました。ここ2年、3年と、いろいろな活動を通じる中でにぎわいづくりという活動をしておりまして、今年その総決算の年と位置づけて活動をしていた矢先の震災です。まちの中に設置しておりました交流館、交流施設も全壊に近い、私も自宅含めて店舗も失うという中で、よそからいろいろな形で支援に入ってきていらっしゃる方を避難所であるとか、病院でボランティアをしておりましたので、そのときに見ておって歯がゆい思いをしつつ県内各地域のいろいろな方々の御支援をいただいて、自分たちも支援活動に立ち上がろうということで活動を始めたのが4月の1日でした。それ以後、いろいろな形でNPOさん、それからNGOさん、行政の皆さん、それからいろいろな地域のボランティアの皆さんとつながりながら先ほど知事がおっしゃったように、まさしく被災者が復興の主役にならなければならないと。この場所から移り住むことなく、収入を得て復興に携わるということを目標に掲げまして、微力ながら復興支援の活動をしております。5月下旬には、県内各地域のNPOの仲間が手をとり合って、いわて連携復興センターというNPO法人の設立に動きました。当初、僕らは釜石で活動していたわけですけれども、一関からは陸前高田、北上からは大船渡、それから盛岡からは例えば山田、宮古というような形で支援の活動をしておったわけですけれども、それぞれが独立した動きをしておりましたので、沿岸被災地域の横の情報共有がなかったというふうな部分も含めて、また内陸の事業所さんの中には震災以降、お客さんが離れてなかなか商売もうまくいかないという部分も聞こえておりましたので、岩手県全域が被災地だという考え方でいろいろな方々の手と手をつなぐ役割をしようということで今も、裏方ではありますけれども、活動を進めているところです。
ここのところ被災地では、心の問題であるとか、就労の問題であるとか、年末年始にかけて寂しい思いをするとか、本当に難しい局面を迎えるであろうと考えていますので、今こそいろんな方々が手をつなぎ合って被災者は、逆に言うと支援を受けるだけではなくて、一緒に立ち上がろうよというふうな形で被災者も、私自身もそうですし、何かやることがあると明日のことを考えられる、この気持ちをつなげるための支援であってほしいなと思って、一応日々活動を続けている、そういう状況です。おかげさまで商業者としての自分も市役所さんの御協力をいただきながら仮設店舗もだんだんと整備をされてきましたので、被災事業所さんがなかなか支援を受けられない立場にいると。同時に、地域のコミュニティーを巻き込んで、みんなで明日のことを考えようよという場所に仮設店舗がなっていけばいいなと考えているところです。よろしくお願いします。

中村局長
ありがとうございます。鹿野さんのところでいろいろNPOとしても活動をやられているのですけれども、それをちょっと具体に何か幾つか教えていただければとも思いますけれども。

鹿野順一
いろいろなことを考えてはいるので、1つには8月、9月から沿岸広域振興局さんとの協働で被災事業者、特に若者でしたけれども、10名を緊急雇用という形でお手伝いいただきまして、今釜石と大槌での仮設住宅向け、それから各地のほう、釜石のほうもそうですけれども、全戸配布を目指す形で被災地の明るい情報も含めてかわら版の発行をすると。
それから、あとは仮設住宅団地であるとか、今度は平田ニュータウン、雇用促進住宅に避難されている方も対象にした一緒にご飯を食べようよというイベントをやったり、あと先月には、みんなで写真であるとか映像、きょうでなければ撮れない今の姿を撮りためていこうという活動をしてまいりましたので、先月中旬に、東京のいわて銀河プラザで釜石の復興の記録という形で写真展を開催させていただきました。釜石にゆかりがあるけれども、なかなか被災地に来られない方々も含めて、たくさんの方においでいただいたというようなことですし、振興局さんのほうからお伺いしたところによると、今後もこういった活動を含めて各地域での開催の要請があるというふうに聞いています。

中村局長
ありがとうございました。
それでは、上野さんからお願いをいたします。

上野孝子
平田地区サポートセンターの運営委託を受けました株式会社ジャパンケアサービスの上野と申します。お願いいたします。私が、現在行っている業務内容としましては、総合相談として苦情、生活相談、介護相談、多岐にわたった相談を受け付けております。
あと、生活支援としましては、見守りやつながるコールといいまして、テレビ電話によって常につながる状態の機械を使って安心を提供したいということで、現在22台設置しております。買い物代行サービスというので、9月12日からスタートしておりますし、配食サービスは1日1回ですけれども、これも10月1日からスタートさせていただいております。ごみ集積所の清掃は週3回ですけれども、そちらも対応させていただいております。地域交流事業に対しましては、イベント企画開催、それからボランティアの方々と協力をさせていただきまして、いろいろとひきこもりの方の予防対策ということで行わせていただいております。
回覧板とかチラシの情報発信という意味で、いろんな情報をお伝えする、もしくは地元の仮設団地の中の情報をお伝えするということでやっております。
介護サービスとしては、市内全域を対象にしましてデイサービスを10月3日から行っております。
介護予防対策教室は週1回土曜日の午前中に行わせていただいていまして、主にこの仮設の団地の中の方ですけれども、介護認定を受けられていない方々を対象に体操及びいろんなレクリエーションをやりながら要介護の状態にならないようにということで予防教室をさせていただいております。
仮設住宅の巡回、巡視サービスですけれども、ケアゾーンに対しましては朝と夕方、1日2回の巡視をさせていただいております。
あと、一般ゾーンに関しましては、60歳以上の独居の方を中心に、それ以前の年代の方でも慢性疾患をお持ちの方、あとはちょっと御心配を抱えているような方に関しましては大体1日最低1回としていますが、その方と御相談してタイミングを決めて、1日置きにとか、1週間に1回でいいよという方もいらっしゃるのですが、その方の生活パターンに合わせて巡回時間を決めさせていただいております。このところちょっとある心配が、今寒くなってストーブ等を利用しておりますので、火災が起きると、この仮設住宅、密接しておりますので、それに延焼が起こることになりますので、その点、防災訓練というか、防火訓練をしていきたいなと思っております。それは、住民の方とサポートセンターと、あとはデイサービスのほうも一緒に行っていきたいと思いますし、そのときに消火訓練も、消火器の使い方とか、それから皆さん集まっていただくときなので、AEDもちょっとあわせてやっていきたいなと思っています。
あとは、市にお願いしていく項目としましては、防災無線の設置です。ここの地区は、もともと住宅地ではありませんので、防災無線がなかった地区なので、早急に設置していただいて、皆さんが市からの情報を防災無線で受けられるようにしていただけたらいいのではないかなと思っております。
それから、商店は、今つくっていただいておりますので、こちらの早期開設のことと、駐車場が比較的大きい仮設団地にしては少な目ですので、そちらのほうは自治会の方と相談しながら早目に、トラブルが起きる前に対策を考えていきたいなと思っています。
以上です。

中村局長
わかりました。今4名の方々から一通りそれぞれのお立場でこれまでの活動なり、生活をされての感想等をお出しいただきましたけれども、知事から何か今のお話の中でコメントが。

達増知事
まず、このサポートセンターは、ちょっと早目に到着しましたので、隅から隅まで見させてもらいまして、大変心強いなと思いました。実際、活動もそういうケアということを軸にしながら安全面とか、見回り活動とか、健康のほうのサポートもしっかりやっていただいているのは本当に心強いなと思いました。
あと、回覧板、チラシはこちら独自につくったりしているのですね。

上野孝子
そうですね、告知というか、いろんな形のお知らせ文だったり、あとは伝達事項もそうですし、自治会が10月に立ち上がったばかりなものですので、それを引き継いでいく形で自治会のほうに今後またお願いすることもあると思います。

達増知事
鹿野さんのところでもかわら版をつくるという話がありましたけれども、やっぱり情報の共有というのがすごく大事だと思うのです。情報の共有は、まずこの地域を共有することになり、今どういうことが起きているかとか、近々どういうことがあるかとか、一緒に住んでいるというコミュニティー感を高めていくのに情報の共有がすごく大事だし、あとは未来を共有することにもなりますから、復興がこのくらい進んでいるとか、もうすぐ市でこういうことが決まるとか、ああいうのができるとかいう情報を共有することで未来を共有できるので、そこはすごく大事です。県は県で「いわてグラフ」とか、さまざまな情報媒体はあるので、被災者支援というサポート的な機能と同時に、被災者一人ひとりが復興の主役になれるような情報提供の工夫とかもしていかなければと思っていました。
阿部さん、猪又さんは、本当に重ねてお見舞いを申し上げますけれども、まず御自身の健康と、それから安全にお気をつけていただいて、伸びやかに日々暮らしていただきたいと本当に思うのです。そういう中で仮設住宅の皆さんや近所の皆さんの健康や安全というところにも配慮しながら日々暮らされているのは本当に頭が下がる思いなのですが、やっぱりそういう助け合いが何よりで、便利隊ですか、やっぱりみんなで力を合わせて役割分担しながら、ごみ置き場の掃除とか、そういうみんなで力を合わせてやるというのと同時に、やはり力の差というのはどうしてもありますから、いろいろできないことがあって困っている人を助けるというのがものすごく大事だと思いますので、そういうことをふだんからやられたり、あるいはきちっとそういう組織をつくってやっているというのは大変すばらしいことだなと思いました。

中村局長
ありがとうございました。
それでは、またもう一回り、皆さんから、いろいろ活動をされている中で困っている点とか、ないしはこういったところがもうちょっとこういうふうになってほしいなとか、いろいろ感じられているところもあると思います。
あとは、これからのいろいろな活動なり生活に向けての何か抱負でありますとか、こんなことに取り組んでみたいとか、そういったお考えもお持ちかとも思いますので、その辺もまた阿部さんから順にお話をお願いしたいと思います。

阿部富雄
活動の中で困っていることとしましては、今のところ思うところがありません。強いて言えば、運営資金が全くないということで困っているといいますか、あとは活動用具や備品もないのですが、ただ今のところ民間の協力会社のリコーさんとか、あと市の関係部署である仮設住宅運営センター、地域づくり推進室、生活応援センターなどから備品用具、事務機器などはお借りして、協力していただいております。したがって、その辺はスムーズに活動運営はできております。したがいまして、行政には感謝しております。
続きまして、自治会として取り組んでいきたいと思っていることといたしまして、2項目ほどあります。これは、復旧から復興に向けて環境整備に加え、メンタルな面にも活動の矛先を向けていかなければならないと考えております。項目1としまして、アンケート結果からも重要課題として強く受けとめている住民交流を押し上げていきたいと思っております。方法、手段としまして、3つのタイプを考えております。1つ、お楽しみ会、趣味、スポーツ、旅行などの参加型交流。これは、自治会独自の企画だけでなく、ほかのNPOやボランティアが企画するものに勧誘して、積極的に参加してもらう。2、自治会活動を通しての参画型交流。先般実施しましたが、活動を通して知らない人同士の会話が生まれるようです。3、住民の悩み事や要望を直接聞く相談交流。生活上のこと、健康上のこと、メンタル上のことなど、住民同士対等な立場で解決策を探りながら交流を図るというものであります。これら3つの角度から住民交流を深め、一つの大きな家族として親しくなっていければいいと思っております。
次に、項目2としまして環境整備のプランター再生、再利用に取り組みたいと考えております。これは、結構ほかの仮設でもやっておられますが、かねがね平田応援センターに球根の調達をお願いしておりましたら、ひまわり団という団体が来週400個ほど届けてくれるという連絡をいただきました。早速来週の日曜日に住民皆さんで球根を植えたいと考えております。そして、来春には復興の花が咲くのを楽しみにしたいと思っております。
広義の観点からの取り組みとしまして、ここサポートセンターのある第6仮設は、ケアハウスのモデル住宅を初めとしてケアセンター、診療所、さらには仮設店舗、事務所等、一つのまちとして形成されつつあります。地球と月の関係に例えられる我が第5仮設といたしましても衛星なりの果たす役割もあるものと認識し、公転しつつ相関関係を保ちながら協力していくことも考えております。あの日から8カ月半、県の復旧、復興行政のおかげをもちまして仮設住宅に対する冬の暖房対策も十分にしていただきました。これからの冬の寒さも乗り切れるものと思っております。
また、知事みずからも仮設体験をされるということもお聞きしております。

達増知事
いや、今夜は、本当よろしく……第5仮設のほうにお邪魔しますので。

阿部富雄
大変すばらしいことだと敬服いたしております。
最後に、復興へ向けて大切にしていることといたしまして、どなたも感じていることではありますが、住民とともに助け合う共助、ともに動く共動、ともに生きる共生、この3つの理念であります。これをもとに、自治会活動の何事にも対処していけば復興は必ず実現できるものと確信しております。
以上をもちまして私からの報告及び意見とさせていただきます。ありがとうございました。

中村局長
ありがとうございました。
それでは、続きまして猪又さんのほうからお願いをいたします。

猪又マサ
私は、今津波に流された家は36年たっています。その前は、上平田のほうに住んでいました。それで、上平田のニュータウンが来てからもう40年近くなりますけれども、源太沢のトンネルが通るということで私たちもその希望を兼ねてニュータウン内に1町歩残しました。3,000坪。それで、この震災になる前、トンネルが通らない、便利が悪いという最初の話と違うということで内陸に移動していった人たちが何軒かあります。それで、今回この震災があって、このトンネルがあったらもっと犠牲になるのが少なかったのではないかなと思っています。それで、ぜひ人口が減らないように、あそこに住んだ人たちが移動しないで安心していられるように、またそして交通の便も、逃げる道が大事かと思っていました。それを絶対そのトンネルを実現させていただきたいと思っています。自分の残している土地は、復興に役立つことができましたら使っていただいてよろしいです。ぜひトンネル、よろしくお願いします。

中村局長
ありがとうございました。
それでは、続きまして鹿野さんのほうからお願いをいたします。

鹿野順一
被災者としてというよりは、今回は被災地にいていろいろな方々と一緒に支援をするという立場のNPOとしてお呼びいただいたと認識をしておりますので、困り事といって行政の皆さんですとか、ほかの方々へ困り事ということは、それは余りないのですけれども、自分たちが今後活動する上で課題となるであろうことは、先ほど阿部さんがおっしゃったように、いろいろな形で、本人も意識しない形で市民活動という場はもっともっと広がっていくだろうと思っています。その方々に、先ほどの資金ということもそうですけれども、もう少しいろいろな輪が広がっていくと、今であればこういう資金がもしかすると使えますよという情報をつなぐことができると。今でも、もし必要であれば、おつなぎしたいところはあるという状況なのです。これがマンパワーもないままですので、なかなか広がりを持たすことができない。これが僕らの一番の課題だと感じています。同じく、NPOであるとか、支援という活動をしている同士であれば、つながりは持ちやすいのですけれども、どこでどういう方々が自分たちの力で何をしようという、この情報を拾うことが一番大変です。支援したいという方は、今の時点ではまだまだたくさんおいでになる。でも僕らの予想では多分来年の夏を越えると減るであろう。そのときには、ここに住み続ける者が自分たちで何とかしていかなければいけないというまでの力を蓄えたい。
もう一つ、もう少し広い意味で言うと、やはり復興というか、被災をした地域で独自で使える資金をプールしなければいけないだろうということを切実に感じています。そのために、いろいろな方々の御協力をいただいて、市民ファンドを設立する。もしくは、今後岩手県さんのほうにも御提案させていただこうと思っていますけれども、復興のためにNPOも主体的に携わる形でどこにどういうふうな資金が必要なのかというのを解明する県との共同の基金設立。今集められるときに被災地のための資金を集める。復興にかかる期間は5年では済まないです。10年。中越の方々は、今でもまだ活動しているとおっしゃっています。集められるときに集めた資金を長期にわたってきちんと使えるような形をつくっていくというのが僕らも含めての役割になるだろう。それが今取り組みたい課題の一つです。
それから、県内各地域もそうですけれども、発災以後立ち上がってきたいろいろなグループがあります。彼らを例えば今後継続的な形でNPO法人なり、任意団体の形でも構わないのですが、せっかく出てきた市民活動の芽を継続で活動できるような形での人材育成というのがどうしても必要になると。思いが先でできた団体さんはどうも事務方のほうが弱かったりというふうな、バランスをもう少しどこかが手助けしていかなければならない。そのために、徹底的に不足しているのが人材です。いろいろな形でのマンパワーであるとか、いろいろな形でのノウハウを吸収するための御協力を今後行政の皆さんにはお願いをしていきたいなと考えています。

中村局長
ありがとうございました。
それでは、続きましては上野さんからお願いします。

上野孝子
困っていることというよりは心配していることなのですけれども、先ほど申し上げましたように、火災のこともそうなのですが、これからの時期だと感染症が非常に心配なところで、ここの仮設は特に高齢者が多いので、何かしらの感染症が発生したらまたそれも蔓延するだろうというふうに考えております。手洗いとかうがいとかの励行に関しては、その都度声かけはさせていただいていますけれども、やはり予防という観点が重要だと思っておりますので、診療所の先生のほうにも御協力いただいて、予防接種は早めにさせていただいておりまして、結構高齢者の大半はもう11月中に予防接種はほぼ終わっていたような状況になっております。
ただ、肺炎球菌のほうに関しても先生のお勧めがあって、やっていきましょうとのお声がありますので、そちらのほうも積極的に、私どものほうでこれからチラシをまいたりとか検討しているところです。

達増知事
肺炎球菌も負担なくできるようになっているのですよね。

上野孝子
そうです。70歳以上が無料になりましたので、そのお知らせも早速告知をしていこうかなと思っておりました。
最近は、ちょっと目立ってきているのが、今まで余り症状が出ていなかった方のうつ症状がちょっと多くなっております。先月の初めぐらいまでは、中年層の男性の独居の方がうつ症状があるということで私たちも注意をしていたのですが、先月の中旬以降、これまで明るかった方、比較的元気そうに見えていた方のうつ症状がちょっと目立っていますので、その辺のところの対応を今早急にしていこうということで、ここの訪問を密にしておりますけれども、うつのチェックリストを使用したりとか、あとは症状がちょっと重いなというように感じたときには心理療法士さんのほうに御連絡させていただいたりとか、あと幸運なことに内陸の精神科の先生のほうも御協力をいただけるということでお話がありましたので、そちらの先生のほうにお願いしたりということで早期の対応をできるように今しているところです。診療所でも1カ月に1回ですけれども、精神科の先生にも出していだけるということが決まりましたので、今後は私たちが困っている方たち、辛い方たちを発見して専門の方につなぐという橋渡しをしていくところと考えています。
ただ、住民の方もそうなのですが、ここを開設しまして4カ月たちましてスタッフも最近では、ここ1週間ぐらいちょっと精神的に辛いというスタッフが出てきております。連鎖反応のようになりまして、やはり1人が辛いとなりますと、みんな辛くなってきますので、職員へのサポートとしては12月の17日にセルフケアということで心理的なセルフケアをしていきましょうという研修をしてくれるという方がいらっしゃいますので、そちらの御協力を得て、スタッフのほうも守っていきたいなと思っています。

中村局長
ありがとうございました。今2巡目ということで4名の方々からいろいろ困っている点なり、今後の活動の予定等のお話をいただきました。今お話が出た中で、1つは猪又さんから源太沢のトンネルのお話をちょうだいいたしました。この問題については、実は我々振興局でも釜石からずっと要望としてはいただいております。今回の3月の大震災のときにも国道45号が津波で全く通れないという状況になりましたので、上平田のニュータウンの方々が実情孤立するような形になったというお話もちょうだいをしておりました。トンネル整備というのはかなり経費的にもかかるということもあるので、全体限られた予算の中でどういった優先順位でやるかというところもありますので、ここ引き続き我々県としては市とも十分に相談をさせていただきながら検討をさせていただきたいなと思っております。

達増知事
私も上平田ニュータウンは行ったことがあって、そこの人からここにできるはずだと、こう指さして場所は私もわかっていますので、引き続き状況を。

中村局長
それから、あと今お話が出た点では、阿部さんからは自治会として活動していく上での資金というのでしょうか、運営資金が今のところないというような、お話もありましたけれども、この辺は例えば何か鹿野さんからアドバイスいただけますでしょうか。

鹿野順一
例えば仮設住宅団地の自治会さんで運営をする側という形で、多分自治会という名前でも今であれば、例えば小口であれば個別で相談に、イベントや何かの経費はNGOさんのほうで個別に応じてくれているところもあります。あと今後の継続的な活動とかということであれば、助成金であるとか一般の資金ですので、紙を書いて提案をしなければいけませんけれども、引き続き赤い羽根中央共同募金さんであるとか、まだまだ一般の応募助成金についてもうちのほうはありますので、必要があれば、時期に応じてというのもありますけれども、提案用紙か申請用紙であるとか、どういうふうな中身で書けばいいかというのは僕らでもお手伝いすることはあると考えています。

中村局長
そうですね、そういった自治会の活動の支援の制度も、今鹿野さんからお話があったように、使えるものが幾つかありますので、ぜひ@リアスさんなり、振興局でも結構ですから、御相談をいただければ、それは何か具体のアドバイスもできるかなと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
あといろいろ出ましたけれども、廣田副局長さんから何か特に今出たような関連でお話があれば。

廣田副局長
大変いいお話を聞かせていただきました。阿部さんも2週間ほど前に議会の特別委員会でお邪魔しましたけれども、きっちりとアンケート調査をペーパーに手書きでまとめられたもので御説明をいただきまして、さらにそういったものも今日はみずから自治会が主体的にやって活動していくというお話を聞きまして、我々行政としてはそういうところがどんどん出てきてもらえれば、非常にバックアップしやすいなと思います。
鹿野さんにおかれましては、本当に我々復興を担う者としましては頼りになるNPOでございまして、これからもひとつよろしくお願いしますし、特にいいお話を聞けたのは新しいそういったNPOが出てきているということで、それを大事に人材育成をするということで、大事に育てていきたいなという思い、我々もそういうことでございますので、何とか一緒になってその辺はよろしくお願いします。

鹿野順一
よろしくお願いします。

中村局長
ありがとうございました。
稲葉室長さんから何かあれば、お願いをいたします。

稲葉室長
私も皆さんのお話を聞いて、かなり地域での生活は一部落ち着いてきて、みずから頑張ろうという力が随分出てきているのだなという、そういう動きか結構あるということなので、そこはやっぱりみんな力を合わせてやっていければいいのかなと思っていました。あとやっぱり心配なのは一通り落ち着いた上に、次の段階をなかなか自分で見つけられずに気持ちが沈んでいっているということもかなり大きく出てきているのだなというのはお話でわかりましたので、そこはやっぱり本当に住んでいる人たちも含めてですが、力を合わせて一人一人に声をかけるとか、そういうことがとっても大事だろうなというのを改めて感じたところでございます。

中村局長
ありがとうございました。鹿野さんのほうからいろいろ今後の活動に向けての抱負というか、市民ファンドとか基金の設立といったような御提案もいただきました。我々としてもぜひそういったことを十分視野に入れながら、そういった市民の方々の活動が長く続くような仕組みがつくられればいいなとも思っていましたので、そこは我々も引き続き検討させていただきます。ありがとうございました。

知事所感

中村局長
それでは、最後に知事からコメントをお願いできればと思います。

達増知事
メンタルな面、心のケアについては、国でもそこは大事だということで先月決まった大型補正予算の中でも一定の予算が確保されて、それを活用して県でもオール岩手のこころのケアセンターというのを立ち上げて、そして振興局ごとに、県の出先ごとにその支部ができて、それで専門のお医者さんたちとの連携で、高度に専門的な、いろんなアドバイスとかお手伝いとかができるような体制を県ではしっかりつくっていくことにしています。
そして、いろんな市民活動の輪の広がり、新しいNPOができる。また、全国的なNPOへ、あと国際的なNGOもどんどん入ってきてくれているということで、3月11日というのはもう大変な悲惨な日であると同時に、世の中の善意がぐわっと発掘された日でもあって、ぜひそれを大切にしたいと思います。新しい公共事業という枠組みで検討してそういう活動を支援する、そこは国の予算や県の予算、国民、県民の善意でそういうところには予算を使おうということで確保されているお金もありますし、またいろんなNPO、NGO、お金を出してもいいという人たちや、あと体動かして働いてもいいという人たちを、それを必要とする人たちとつないでいく工夫も県もいろいろしようとしているし、これから強化したいと思います。県立大学を事務局にして公募型復興企画推進という……

廣田副局長
いわて未来づくり機構。

達増知事
ええ、ええ。そこで、いろいろインターネットも活用しながらこういうアイデアもある、こういうアイデアもあるというアイデアを発掘して、そういうことだったらうちの団体がお金を出せるとか、うちの団体が人を出せるみたいな、そういうマッチングをどんどん加速していく仕掛けをつくりました。そこだけではなく、そういったたぐいのことをいろんなところでできるようにしていきたいと思っていて、それが被災者支援から復旧、復興を支えながらその後もできるだけ永続できるように、来年夏ごろ減っていくというのはうっかりするとそうなるのでしょうけれども、なるべく減らさないで、むしろ先に行くほどふえていくぐらいな勢いにして、そういう世の中こうあるべきではないか、社会とか地域とか、こうあるべきしてないかというような形を復興という事業の中でつくっていって、それで日本全体のあり方とか、さらに今はヨーロッパやアメリカもそのあり方で悩んでいるところでありますから、そもそもこういうふうにしていくのが人の道ではないかというのを復興の現場でつくっていくことで、世界の参考になるようなものを岩手からつくっていきたいということも考えつつ、この復興というのは進めていかなければならないと思っています。ただ疲れがたまってくると、どうしても心のほうも荒れていきますから、疲れをためないようにということと、あといろんなそういうNPO団体、いろんな団体の企画とかも活用しながら、おいしいものを食べるとか、変わったものを食べるとか、みんなでどこか行って気分転換するとか、そういうのも本当どんどんふやしていったらいいのでしょうね。そうやっていい意味で楽しく復興ということにみんなで力入れて暮らしていけるようにしていきたいという気持ちが私の中でもさらに深まりましたので、きょうは本当にありがとうございました。

中村局長
ありがとうございました。

閉会

中村局長
大体予定をしておりました1時間が経過しました。本日は、御出席をいただきました皆さんから非常に貴重な御意見なり御提言等もいただきました。そういったことも踏まえて、我々県でも市町村のほうとも連携をしながら、また復旧、復興には取り組みを進めてまいりたいと思います。これから冬を迎えて、また皆さんもお話ありましたけれども、火災の心配でありますとか、感染症の心配とか、そういったところもありますけれども、それについては我々行政と、あと皆さんをはじめ活動されている方々、いろいろ連携をとりながら何とかこの冬も乗り切っていきたいと思いますので、引き続き御協力をいただければと思います。
本日は、お忙しい中御出席いただきまして、本当にありがとうございました。
以上をもちましてこの県政懇談会を閉じさせていただきます。ありがとうございました。

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