岩手県蚕業試験場報告 第5号(昭和39年3月発行)

ページ番号2004914  更新日 令和4年10月12日

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桑の古条マルチングさし木法に関する研究(第1報)

大嶋利通・田口恒雄・原田 武・砂金 努・遠藤富雄

 本報告には桑の古条マルチングさし木法について、そのやり方と活着歩合、成苗歩合等について述べた。その方法は桑の古条を発芽前に採取し、脱苞期の前後にビニールまたはポリエチレンフィルム等を利用してマルチングを行い、それをさし床として前記の採取した古条からさし穂を作り、さし木を行ない成苗を得る方法である。

  1. マルチングによるさし木を行なうと活着率、成苗率が高い。成苗は大苗が多く生産されることを明らかにした。
  2. さし木の際、さし穂の上部切口にパラフィンや蒸散抑制剤ユゴーF等を塗布すると活着率を高くすることが出来る。
  3. マルチングによって地温を高め、発芽を抑制することが出来発根を促進させることが出来る。
  4. 移植鉢を利用し、マルチングによるさし木苗をその年の夏季に本圃に移植が可能である。
  5. 実用性としては、新梢さし木よりもさし木後の生育期間が長くなり成苗率がよい。また農家にとっては、その作業時期が割合に暇なときで作業し易い。
  6. 他の採苗法に比して作業が簡易で、婦女子でも出来る方法である。
  7. 実施に当ってはさし穂の胴枯病予防と霜害を防止することに努めること。
  8. 桑の古条マルチングさし木法は自給桑苗の生産に大きな意義をもたらしたものであり、移植鉢利用による古条さし木の本圃移植が可能であることも明らかにした。

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