岩手県立農業試験場研究報告 第15号(昭和46年3月発行)

ページ番号2004863  更新日 令和4年10月6日

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高冷傾斜地における商品作物と飼料作物との機械化一貫体系確立に関する研究

山本利介・藤沢勝太郎・吉田功三・中村良三・浅沼正次

 高冷で、しかも、5~10°に及ぶ傾斜地を有する地域における、飼料作物に商品作物を付加した輪作の、機械化一貫作業体系の確立を目標に、昭和40~42年に、代表的な2種類の作物結合体を素材とし、各種の作業機を供試して、作物別および作業別に、作業能率と作業精度および作物収支の面から、調査検討した。その結果を要約すると、次のとおりである。

  1. 両輪作体系とも、前作物の収穫から、次期作物の播種に至るまでの期間が短い。特に、次期作物が冬作物である場合に、その傾向が顕著である。
  2. 前作物の収穫にコンバインが利用されると、次期作物の播種床準備作業で、排稈のすき込みのため、作業が困難となり、作業精度、能率ともに低下する。そして、次期作物の発芽、初期生育に悪影響を与える。
  3. ビートシンナーによる間引作業(飼料かぶ)は、目標株間に近い、シンナヘットを利用し、その後、人力による、1本立て間引作業を行なうのが適切な方法と考えられるが、多くの補正間引労力を必要とするので、実用性の低い作業機である。
  4. 青刈とうもろこしの管理作業において、トラクターの畦間走行は、草丈が1メートルまでは、作物の生育に影響(倒伏)を与えない。
  5. コンバイン収穫作業(小麦)において、傾斜および作業方向により、精度差がみられた。これは、機体の傾斜により、機内の流量が、平坦地における場合と、差を生ずるためと推察される。
  6. 馬鈴薯は、単位面積当たり延作業時間が、供試6作物中最も多かった。これは、現作業体系が、手作業に80%近い労力を要するという、人力作業に依存した体系のためである。
  7. 収支試算では、青刈とうもろこしが最も収益性が高く、次いで馬鈴薯である。他の4作物は、いずれも赤字収支となり、その根源は、単価面積当たりの過剰投資と、低収によるものである。
  8. 当然のことながら、小面積では、コンバインは過剰投資となる。試算によれば、この試験の収量では、なたねが6ヘクタール以上、小麦が33ヘクタール以上の稼動面積で、黒字収支となる。

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