岩手県立農業試験場研究報告 第8号(昭和40年2月発行)

ページ番号2004870  更新日 令和4年10月6日

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銅欠乏土壌に関する調査研究(第1報)

黒沢順平・内田修吉・中野信夫・高橋利直・高橋和吉・千葉 明・関沢憲夫・菊地忠雄・米沢霄子・高橋良治・荒川善行・白畑憲介・及川芳幸

 岩手県下に発現した銅欠乏について、欠乏症状の特徴、銅欠乏土壌の性状並びに分布、改良対策に関して行なった試験研究を要約すれば次のようである。

  1. 銅欠乏症状の特徴は、特に麦類において顕著にみられる。症状は出穂前頃より発現し、上部葉がこより状にまくれ、しかも尖端は黄白色になり、所謂Yellow tipを示す。
  2. 麦類の中、大・小麦、えん麦は欠乏症状が発現しやすく、大・小麦の品種間には、銅欠乏に対する抵抗性に明らかに差異が認められる。
  3. なたね、大豆は外見的に欠乏症状は判然としないが、銅施用効果は認められる。
  4. 銅欠乏土壌は県内に広く分布していることが判明し、これらの土壌は何れも可溶性銅に著しく欠乏しているが、銅のみでなく苦土、硼素等にも欠乏している。
  5. 銅欠乏の対策として硫酸銅の10アール当たり4kg土壌施用によりほぼ完全に恢復し、しかも持続効果は少なくとも3~4年はあるものと考えられる。
  6. 銅欠乏に対して硫酸銅を基肥と同時に施用し得なかった場合にはなるべく早く施用することが銅欠乏の被害を軽減できる。
  7. 硫酸銅の土壌施用の場合、条施と全面撒布には効果に差は認められない。
  8. 銅欠乏に対し硫酸銅の葉面撒布も効果が高いが、撒布はなるべく早く行なうこと。又撒布濃度は0.4%までしか試験を行なわなかったが余り高い濃度では薬害の危険がある。
  9. 銅添加の場合炭カルによりpHを7.0近くまで上昇せしめても銅の不可給化による欠乏症状は発現しなかった。

 以上、銅欠乏に関する研究を第1報として報告した次第であるが、不備な点及び今後に残された問題点が多くあるので、これらについては引続き研究を続行し、第2報以下に報告したい所存である。

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