岩手県畜産試験場研究報告 第18号(平成2年3月発行)

ページ番号2004891  更新日 令和4年10月11日

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草地を基盤とした2シーズン放牧方式による寒冷地型肉用牛生産技術の確立

谷地 仁・小針久典・沼尻洋一・蛇沼恒夫・橘 千太郎・川村正雄・斎藤節男・豊田吉隆・吉川恵郷・山口与祖次郎・山田和明・山田 亙・細川 清・佐藤明子・川村祥正・和田一雄・佐藤利博・小松繁樹・笹村 正・茂木善治・佐藤直人・上野昭成・村上哲太郎

1章 草地の効率的利用技術の開発
 ア 先行後追い放牧利用方式の実証

  1. 放牧頭数は牧草の生産量により左右されるが、チモシー草地では出穂後期に不食地が見られ放牧圧が不足したことがうかがわれた。また、9月下旬以降の牧草生産力は著しく低下することから、160日間以上の放牧期間を維持するためには、本試験で行った先行牛1頭当たり0.5ヘクタール程度の放牧地面積が必要と考えられる。
  2. 草地への施肥は4月下旬と7月下旬の2回に等量施肥したが、牧草の季節生産性の平準化や晩秋における牧草の生産力を維持する目的から、施肥回数を3回にすることや施肥量配分について検討することが必要と考えられる。
  3. 先行牛の日増体重は、昭和62年が平均0.781kg、同63年が0.969kgであり、目標とした0.6kgを大きく上回ったものの、年次間に有意差が認められた。この放牧期の日増体重(kg/日)については、冬季育成期での管理法や増大量の影響が大きいことが知られており、62年の供試牛は0.752kgであったのに対し、63年の供試牛は0.481kgであり0.271kgの差があったことや、放牧開始時の体重において63年の供試牛が33.9kg小さかったことによる放牧期での代償性発育が現れたものと考えられる。
  4. 本放牧方式は後追い牛による残草の処理を行うことによる高栄養草地の維持を目的としているが、本試験では放牧圧がやや低い状態であった。これらのことから、後追い牛を放牧する目安は、入牧から6月の下旬までを先行牛1頭に対し後追い牛2頭とする。その後は順次減らして、7月中旬から9月中旬まで1対1とするのが適当と考えられる。また、9月下旬以降は先行牛のみの放牧となるが、先行牛の終牧後に残草がある場合には再度後追い牛の放牧を行う必要がある。
  5. 転牧の目標回数は年10回以上とする。転牧の目安は、入牧から6月下旬までを2~3日ごとの転牧とし、その後は3~4日とすることが適当と考えられる。また、転牧作業は、放牧地をロータリー状に配置することにより容易にできるとともに、牛個体の観察も確実に行うことができるものと考えられる。

 イ 放牧用適草種の選定

  1. ペレニアル草地の乾物生産量は放牧利用2年目(昭和63年)で大きく減少したが、昭和62年の成績は前植生の影響や草地造成時の元肥の影響が大きかったものと考えられる。また、チモシー草地はヘクタール当たり平均4,844kgで高標高寒冷地に適した草種であると考えられる。
  2. 昭和63年の牧養力が両草地とも低下したのは、先行牛の退牧後の残草処理量が昭和62年に比べ約70CD少なかったためであり、チモシー草地の牧養力は概ね600CDが期待できるものと考えられる。また、先行牛の日増体重については草種間の差がみられなかったが、これは先行牛1頭当たりの面積が0.5ヘクタールと広かったために選択採食が行われたためと考えられる。
  3. 草種割合については、出穂期のチモシー草地のマメ科牧草の割合が少なかったもののその他では良好な割合を示しマメ科との混播にはチモシーが適しているものと思われる。
  4. チモシー草地は出穂期を中心に茎部の増加や枯れ葉が多く発生したが、チモシーの乾物生産がこの時期に片寄っているためであり、草地の維持管理のためには、試験により行われた以上の強い放牧圧をかける必要があった。
  5. 基底被度については両草種とも良好であったが、ペレニアルライグラスについては調査地点ごとの変動が大きいことから、高標高寒冷地での適性について3年目以降の観察調査が必要と考えられた。また、単播区の結果から従来からの基幹草種であるオーチャドグラスについては、基底被度を維持するという面からは好ましい草種ではなかった。
  6. 両草種とも入牧前に上部半分を採取して分析したためCPは20%を上回る高い水準となった。昭和62年のDOMは阿部らの回帰式、DOM={1.033×(OCC+Oa)-10.1}+(0.480×Ob-4.0)を用いた。また昭和63年は阿部らの回帰式、y=7.4+0.887x(y=DMD、x=乾物分解率)を用いたため昭和62年がやや高かった。無機成分はMgが低めであったが、他は標準的な値であった。炭カルに比べMg入り肥料の施用が少ないことが起因していると考えられた。

 ウ 肉用牛放牧による短草型草種の特性

  1. 短草型草種として、レッドトップ(以下Rt)を用いたが、植生からみてケンタッキーブルーグラス(以下Kb)への優占化の傾向がみられることから、Rtは高標高寒冷地では環境適応性の面で問題があると考えられ、基幹草種の選定にはさらに検討を要する。しかし、草地そのものは短草型で維持されていることから、オーチャードグラス(以下Or)草地と比較し植生の安定性が認められた。
  2. Rt草地の収量性はOr草地と比較しやや劣ったものの、放牧利用上実際には問題がないと思われた。なお、生育パターンは特に春から夏の生育が旺盛であった。
  3. 栄養成分について草種間に差は認められなかった。
  4. ミネラルバランスの面で短草型草種は優れていた。
  5. 家畜生産性については、草型により単純に優劣を議論できない。すなわち、黒毛和種育成牛でのデータが端的に示す様に、出穂して過繁草となった短草型草種は著しく嗜好性が劣り、利用性が悪かった。一方、植生の安定性など短草型草種が優れる面があり、粗放的利用における永続性は期待できるが、春から夏の管理が重要で、出穂した不食過繁草を極力抑える放牧管理をしなければ家畜生産に結びつかない。従って、集約的な利用が当草種の特性を生かすものと考えられた。

2章 草地を基盤とした肉用牛生産技術の開発
 ア 放牧育成素牛の冬期粗飼料多給による前期肥育技術の実証
 2シーズン放牧における肥育では、冬期育成期の飼料条件の違いがその後の発育、肉質、肉量に大きく影響する。そこで本試験では、日本短角種24頭を用い、開始時体高、体重の大小及び冬期育成期の給与飼料の違いによる影響について検討した。

  1. 7ヶ月令補正体高はH-1区(103.7cm)=H-2区(103.7cm)>L-3区(98.4cm)>L-4区(96.8cm)であり、12ヶ月令補正ではH-1区(116.5cm)>H-2区(114.9cm)>L-3区(111.1cm)>L-4区(109.3cm)で、試験開始時の体高の高低差は給与粗飼料の種類の違いに関わらずそのまま残った。
  2. 1日当り増体量は、L-3区(0.737kg)>H-1区(0.718kg)>L-4区(0.535kg)>H-2区(0.429kg)の順となり、トウモロコシサイレージを給与した区が有意に高い増体を示し、グラスサイレージを給与した区は目標DG、0.7kgを維持することができなかった。
  3. 1日当り摂取TDN量は、L-3区4.54kg、H-1区4.39kg、H-2区3.76kg、L-4区3.54kgの順となり、品質が不安定で、ややTDN含量の劣るグラスサイレージの給与では、DG0.7kg程度の増体に必要な養分量を確保するために濃厚飼料を体重比で0.5~1.0%程度補給する必要がある。
  4. 1kg増体に要したTDN量は、H-1区5.86kg、L-3区6.15kg、L-4区7.26kg、H-2区8.78kgとなり、トウモロコシサイレージ給与区で優れた成績が得られた。

 イ 先行放牧による肥育素牛の増体量の確保
 先行・後追い放牧法によって放牧地の草生を短草型に維持すれば、肥育素牛は高い増体量(DG0.6kg以上)を確保できる。特に、高標高地でペレニアルライグラス(以下Pr)区とチモシー(以下Ti)区草地でのDGを比べると必ず明らかな差異がなかったが、いずれの草種でも高標高では優れた増体量が確保された。肥育素牛において離乳時の発育値(発育タイプ)が日本短角種の正常発育曲線の範囲内にあれば2シーズン放牧期の増体速度に差異が認められた。

 ウ 放牧育成牛の粗飼料多給による仕上げ肥育技術の実証
 2章で前期したア及びイの同一供試牛を用い、引続き粗飼料多給による仕上げ肥育を実施し、一連の飼料試験の結果が枝肉に及ぼす影響について検討するとともに、この技術の経済性についても試算した。

  1. 冬期舎飼い開始時に認められたH区(107.0cm)とL区(101.0cm)間の有意な体高差は、終了時においてもH区(136.5cm)、L区(132.7cm)問に差が見られ、肥育素牛の体高による出荷時期が異なることが示唆された。
  2. 仕上げ肥育のDGは、H-1区1.025kg>L-3区0.944kg>H-2区0.903kg>L-3区0.889kgで、H区、L区間に差はなく年次間に差があった。冬期育成開始時から出荷までの通算DGはH-1区0.815kg>L-3区0.768kg>L-4区0.756kg>H-2区0.736kgとなり、トウモロコシサイレージを給与した区が優れた。なお、仕上げ肥育期の1日当り濃厚飼料の給与量は体重比で、H-1区0.96%<H-2区1.03%<L-3区1.05%<L-4区1.10%であった。
  3. 背部皮下脂肪厚は、H-1区14.7mm、H-2区16.5mm、L-3区17.5mm、L-4区13.5mmと薄いが、バラ部皮下脂肪は仕上げ期DGが増すにつれ厚くなる傾向がある。終了時体重、温屠体重及び枝肉歩留等でH区とL区間に有意差が認められた。本試験の2シーズン放牧肥育牛の枝肉格は等級は一般出荷牛と比較してやや優れていたが、「しまり」の項目がやや劣る傾向にあった。
  4. ロース芯の脂肪含有量はH区5.5%<L区7.4%、水分含量はH区70.2%<L区71.0%だった。
  5. グラスサイレージの多給は、肉色の赤色度、黄色度、色相及び彩度、並びに脂肪色の黄色度、彩度、色相及び赤色度を増加するものと考えられる。
  6. 枝肉の赤肉量及び脂肪量は終了時体重(屠殺時体重)と正の相関があり、体重の大型化に伴う脂肪の増加量は赤色量の177%である。骨量は7ヶ月令補正体高が強く影響し、大型タイプの肥育素牛での仕上げ体重は約630kg、小型タイプの牛では約600kgまでの肥育が限界である。
  7. 本試験で得られた集約的な放牧を取り入れた、全期粗飼料多給肥育技術による枝肉1kg当りの生産コストは、1,311.6円で濃厚飼料多給肥育の1.5%高となる。放牧料金が1日180.5円以下あるいは濃厚飼料の1kg当り単価が45.6円以上であれば濃厚飼料多給型より年間所得額が増える。一方、本技術を応用した場合出荷月令が25ヶ月令まで延長することから、日本短角種肥育牛の端境期対策ともなり、周年出荷のためにも有効な技術となる。

3章 新技術体系の確立及びその経営的評価
 ア 新技術体系を取り入れた牧場経営モデルの策定と経営評価
 新開発技術体系を経営・経済評価するにあたって、まず牧場モデル策定手順について整理した。また計画を現実的なものとするため、短角牛の主要な生産地帯である岩手県北Y村の中核的牧場であるA牧場に導入すると仮定し、新開発技術導入牧場モデルを策定した。これによれば、総育成原価は現行より12.5%低減する。なお、延べ放牧頭数は現行の1.76倍増加する。

 また、新開発技術体系を利用する農家サイドの得失についても経営的検討を加えた。新開発技術体系を用いた肥育を全期粗飼料多給型とし、比較対象として現行の前期粗飼料多給型および濃厚飼料多給型モデルを設定し、比較検討を行った。その結果、第1次生産費は全期粗飼料多給型が、他の2つの舎飼いモデルに比較し最も高くなった。年間当り所得額でも、他の2つのモデルに対し、それぞれ71.8%、68.7%に留まった。この主な要因として放牧料金の増加に加え、肥育期間が長期に亘ることによる固定費負担増、および自給飼料生産のための家族労働費の増加を上げることができる。一方、効果では飼料費の低減効果が認められることに加え、現在短角牛の大きな問題となっている周年出荷体制への寄与を上げることができる。

肉用種経産牛の産肉性 -黒毛和種、日本短角種の経産牛肥育試験-

佐藤利博・川村祥正・沼尻洋一・和田一雄・小松繁樹

 雌牛は本来子牛生産を目的とするものであるが、生産される雌子牛の相当数は未経産のまま肥育屠殺されている。これら雌子牛を有効に活用する目的で、肥育する中で分娩を組み入れた肥育方法について、黒毛和種および日本短角種で行った。試験区は肥育終了時の産歴により1産区、2産区、3産区の3つに分け、試験開始時すでに妊娠4~7カ月齢であった。分娩後の肥育期間は202~226日である。

  1. 分娩から終了時までの一日増体量は黒毛和種1産区0.57kg、2産区0.68kg、3産区0.64kg、日本短角種1産区0.72kg、2産区0.75kg、3産区0.73kgと黒毛和種1産区で増体が低く、日本短角種は黒毛和種に比較して増体重がすぐれ産肉性が高い。
  2. 全期間における一日当り飼料の摂取実量は濃厚飼料で黒毛和種1産区7.64kg、2産区8.59kg、3産区8.78kg、日本短角種1産区8.78kg、2産区8.69kg、3産区8.58kg、稲ワラは黒毛和種、日本短角種でそれぞれ2.07kg、3.64kg、3.67kg、3.30kg、2.72kg、3.92kgであった。
  3. 1kg増体に要したTDN量は、黒毛和種、日本短角種1産区、2産区、3産区それぞれ10.01kg、13.15kg、13.29kg、12.40kg、11.54kg、15.31kgと高いが両品種による飼料の利用性に差はなかった。また、黒毛和種におけるこの成績は、未経産肥育牛に比較して1産区で138%、2産区で187%と肥育効率は劣る。
  4. 黒毛和種の1産区で枝肉歩留63.1%は未経産肥育牛に比較してわずかに劣るが、2、3区では61.5%と劣る数値であった。日本短角種では1、2産区で61.4%、3産区で58.7%と低かった。
  5. 枝肉の構成割合は、黒毛和種で赤肉48~49%、脂肪37~38%、骨13.5%、日本短角種で45~46%、脂肪40~41%、骨13~14%と日本短角種で赤肉割合が2~4%下まわり、脂肪がその分高まる傾向にあった。
  6. 枝肉格付(日格協)では、黒毛和種1産区:A-3が1頭、A-2が1頭、2産区:A-2が3頭、3産区:B-2が2頭、日本短角種1産区:A-3が1頭、A-2が2頭、2産区:A-3が1頭、A-2が2頭、3産区:B-2が1頭となった。体脂肪の色は両品種の2、3産区で黄色度合が強まり、肉色の濃さとあわせ枝肉評価が低くなるので、未経産牛と同程度の肉質評価を狙うには、1産肥育が妥当である。

消費者の属性と牛肉の消費傾向

下 弘明・杉原永康・漆原礼二

 盛岡市内6店舗、埼玉県2店舗の生活協同組合もしくはスーパーマーケットの店頭における面接法により、また首都圏の一つの共同購入グループの会員に対して留置法によりアンケート調査を実施し、消費者の属性と牛肉の消費傾向との関係を明らかにした。

  1. 食肉における牛肉の消費順位、家族1人1回当たりの牛肉購入額の二つの消費傾向と回答者(女性、以下同じ)の年齢、家族1人当たりの年間収入および家族1人1カ月の食費の三つの消費者の属性との関係は、年齢や金額の増加という属性の変化と共に、消費量や購入額が増加し、消費が拡大する傾向にある。
  2. 牛肉の購入頻度については、家族1人当りの年間収入、家族1人1回当たりの食費との関係において、その増加と共に比例的に購入頻度も増加する傾向を示すのに対して、年齢に関しては40代および50代以上に比較して30代以下の購入頻度が少ないという2段階の傾向を示した。
  3. 家族1人1回当りの購入量については、回答者の年齢並びに家族1人1カ月当りの食費との関係において、その増加と共に購入量も比例的に増加する傾向を示すが、家族1人当りの年間収入との関係においては、中間の100~150万円の階層が他の2階層より少い傾向を示した。
  4. 購入する牛肉の100グラム当たりの価格については、家族1人1カ月当たりの食費の増加に伴って上昇する傾向を示したものの、年齢による差は見られず、家族1人当たりの年間収入との関係については150万円以上の階層がそれ以下の階層よりも高いという2段階の傾向を示した。
  5. 牛肉の購入理由を「おいしい」とする者は、相対的に30代以下の若い世代に多く、また家族1人当たりの年間収入が100~150万円、同じく1カ月の食費が2~3万円のそれぞれ中位の階層に多いが、年間収入150万円以上、1カ月食費3万円以上の高位の階層には少ない。
  6. 牛肉の購入理由を「栄養や健康を考えて」とする者は、相対的に30代以下の若い世代には少なく、家族1人当たりの年間収入については150万円以上の高位の階層に多い。また同じく1カ月の食費についても3万円以上の高位の階層に多く、2~3万円の中位の階層に少ない。
  7. 牛肉の購入理由を「価格が安い・手頃」とする者の割合は年齢や家族1人当たりの1カ月の食費による差が見られないが、家族1人当たりの年間収入が150万円以上の高位の階層に少ない。
  8. 牛肉の購入理由を「食べ慣れた肉だから」とする者の割合は年齢による差が見られないが、相対的に家族1人当たりの年間収入が150万円以上の高位の階層に多く、同じく1カ月の食費が2万円以下の低位の階層には少ない。
  9. 牛肉購入時の選択基準を「料理に合った部位」とする者は、40代に多く、50代以上に少ない。また家族1人当たりの年間収入が100~150万円の中位の階層に少なく、家族1人当たりの1カ月の食費との関係においては、2万円以下の低位の階層に多い傾向にある。
  10. 牛肉購入時の選択基準を「色・つや」とする者の割合は、年齢による差が見られない。また家族1人当たりの年間収入が150万円以上の高位の階層に少なく、家族1人当たりの1カ月の食費との関係においては、食費の増加に伴って比例的に多くなる傾向にある。
  11. 牛肉購入時の選択基準を「赤身肉の多いもの」とする者の割合は、年齢、家族1人当たりの1カ月の食費による差が見られないが、家族1人当たりの年間収入が100万円以下の低位の階層に少ない傾向にある。
  12. 牛肉購入時の選択基準を「霜降り肉」とする者は、50代以上に多く、家族1人当たりの年間収入が100~150万円の中位の階層に少ない。また家族1人1カ月の食費との関係においては、食費の増加に伴って比例的に多くなる傾向にある。
  13. 家庭でよく作る牛肉料理として、すきやきを挙げる者は、50代以上の高年齢層に多いが、家族1人当たりの年間収入および家族1人当りの1カ月の食費との関係においては、差は見られない。
  14. 家庭でよく作る牛肉料理として、焼肉を挙げる者の割合については、年齢や家族1人当たり1カ月の食費による差は見られないが、家族1人当たりの年間収入については100万円以下の低位の階層に多い傾向にある。
  15. 家庭でよく作る牛肉料理として、ハンバーグを挙げる者は、50代以上の高年齢層では少ない。また家族1人当たりの年間収入については100万円以下の低位の階層に多く、家族1人当たりの1カ月の食費については3万円以上の高位の階層に少ない傾向にある。
  16. 家庭でよく作る牛肉料理として、ステーキを挙げる者の割合については、年齢による差は見られないが、家族1人当たりの年間収入および家族1人当たりの1カ月の食費との関係においては、それぞれ150万円以上、3万円以上の高位の階層に多い傾向にある。
  17. 家庭でよく作る牛肉料理として、シチューを挙げる者の割合については、年齢による差は見られないが、家族1人当たりの年間収入については100~150万円の中位の階層、家族1人当たりの1カ月の食費との関係においては3万円以上の高位の階層に多い傾向にある。

財務指標値の設定とそれに基づく経営分析・計画システムの作成

茂木善治・杉原永康

 大規模畜産経営の発展と安定化を図るうえで重要となるのは、企業的視点からの経営管理である。その場合目標となるのは、資本から生み出される利潤の最大化ということであろう。この目標を達成するためには、財務諸表の的確な分析とそれに基づいた計画立案のプロセスが不可欠である。

 そこで、現在一般企業サイドで用いられている各種財務指標を畜産において援用することを前提として整理し、さらに財務指標の定義式から経営全体の成果を表す最高指標値を設定するとともに、指標相互の関係から要因発見を行い易い財務分析フローチャートを策定した。また、酪農経営の実態調査からこの適切な指標値レベルを設定した。

 一方、これらの分析や計画を行う場合近年急速に普及してきているパーソナルコンピュータを用いることによって、その処理の効率化が図られるであろう。そこで、経営者や指導者が利用しやすい経営分析と計画の行えるコンピュータプログラムを開発した。

 このシステムは、経営分析では種々の角度からの分析が行えるので、経営の弱点や改善点を把握しやすいものとなっている。一方、計画システムでは、損益分岐点分析を応用した利益計画シミュレーションを中心として、借入金返済シミュレーションなど、各種の経営計画シミュレーションが可能となっている。

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