牛も「多様性」が重要です ~ DNAの評価&確保のため県内牧野で日本短角種子牛の全頭採血を実施
日本短角種は、岩手県が全国ナンバー1の飼養頭数を誇る和牛であり、その牛肉は消費者から牛肉本来の香りと旨みが堪能できる赤身肉として好評を得ています。
しかし、飼養者の高齢化や労働力不足といった理由により、県内の飼養頭数は年々減少して2023年現在では3千頭を下回っており、近親交配が進むことによる産肉性等の生産性への影響や遺伝的不良形質の発現が心配されています。
そこで、当研究所では、現地の生産者や関係機関・団体の協力を得ながら、県内各地域のエリート牧野注)において子牛の全頭採血を実施し、日本短角種の遺伝子型を調査することにより、遺伝的多様性の現状を評価・確保する取組を始めました。
遺伝的多様性とは、同じ種の中の個体毎に様々な遺伝子の変異(多様性)があることをいい、牛でも顔や体型、性格など多様な個体差として表れています。
この研究では、年間約400頭の日本短角種の遺伝子型を判定するほか、種雄牛の全ゲノム解析を通じた遺伝的不良形質の有無も調査しており、DNAレベルでの近交回避交配法や不良形質の排除に活用できる成果の発信を目指していますので、是非ご注目ください。
岩手が誇る日本短角種の生産振興について、種雄牛の造成に加えこのような技術面でも貢献できるよう、これからも取り組んでいきます。
注)体型や遺伝的能力の優れる基幹種雄牛と繁殖用雌牛群の計画交配により生まれた子牛の中から、次代の種雄牛や繁殖雌牛を生産するための放牧場
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子牛の全頭採血
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放牧の様子
2023年6月8日撮影(於:久慈市・基幹牧場)
(畜産研究所家畜育種研究室 主査専門研究員 山形 広輔)
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