パラオ共和国における農畜産業の発展と食料自給率の向上への足掛かりとして

ページ番号2010606  更新日 令和6年3月26日

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 ODA(政府開発援助)を専門に行う一般財団法人日本国際協力システム注1)は、パラオ共和国における農畜産業の発展と食料自給率の向上を目的に、養豚、養鶏の衛生検査、食肉処理・加工施設の建設や運用の支援注2)を行っています。今般、当所に鶏肉加工や衛生検査等の運用に関わる指導要請があったことから、家畜育種研究室で南部かしわや黒豚の育種経験を有し獣医師である昆野次長(現:種山畜産研究室)が令和6年2月26日から7日間、講師として派遣されました。

 同国エサール州バベルダオブにある農業局食肉加工・検査場には、日本の支援による最新の顕微鏡や検査機器が整備されており、現地スタッフ7名を対象に、細菌の検査手法や検査機器等の扱い等の講義と実習を行いました。実習では、顕微鏡で鶏の糞便中の運動している細菌を直接観察させ、また、鶏処理室の拭き取り検査等の手技を伝達しました。

 日本と同国の関係注3)は、江戸時代の1821年(文政4年)に、陸奥国閉伊郡船越浦(現:下閉伊郡山田町船越)の神社丸がパラオに漂着したことから始まり、同国と本県とはゆかりがあります。また、同国は、1914から1945年まで日本の委任統治下にあったことから、公用語(英語・パラオ語)の随所に日本語由来の単語が使われ、パラオ語でも、“衛生”は、「エイセイ」で通じるため非常に親近感を覚えたとのことです。

 短期間の指導ではありましたが、同プロジェクトを支える日系のSATO氏(開業獣医師)が、リーダーシップを取ってパラオの公衆衛生の改善を強く進めており、日本の支援が着実に実を結ぶものと期待されるとのことで、同国の畜産物の安全性確保に当所が貢献できたものと認識しています。

支援検査機器の写真
支援検査機器(顕微鏡、カメラ及びモニター) 
日本の支援が分かるシールが貼られています(左上)
  • 現地スタッフの写真

    7名の現地スタッフ

  • 顕微鏡の操作実習の様子の写真

    顕微鏡の操作実習(右:SATO獣医師)

(畜産研究所種山畜産研究室 室長 今野 一之)

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