気候変動に対応した小麦生産を目指して ~ 根雪期間ほぼ0日の県境から

ページ番号2010456  更新日 令和6年2月5日

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 この数年、冬期の平均気温が高く推移し、降雪量の少ない「暖冬小雪」に当たる年次が増加しています。小麦では融雪が早まることで分げつの発生が旺盛となり、穂数が過剰になることで粒径が薄く千粒重の軽い「細麦」が増えて減収することが知られています。

 しかし、岩手県では、暖冬小雪年次における適切な小麦の栽培管理は明らかになっておらず、生育量の増加と生育の前進化に、いかに対応するかが課題となっていました。

 小麦の分げつ本数に影響する要因は「播種期」や「播種量」「気象条件」「踏圧」「施肥」など多岐に渡ります。そこで、土壌肥料研究室では「施肥」に着目し、岩手県農業研究センターほ場と一関市の現地ほ場にて東北南部~暖地の施肥管理を試験しています。

 今冬は、小麦播種後の平均気温がこの数年で最も高く推移し、降雪量がごく少ないことから、一関市の現地ほ場は根雪期間ほぼ0日で経過しています。さらに、最新の1カ月予報では東北太平洋側の向こう1カ月の気温は高い見込みであり、より分げつが旺盛になると想定されるため、前年に引き続き暖冬小雪条件での施肥管理について検証を行い、研究成果として公表予定です。

 盛岡地方気象台・仙台管区気象台の作成した「岩手県の気候変動」リーフレットでは、将来的に年平均気温が1.4~4.6℃上昇すると予測されています。数十年先も岩手県が東北一の面積を誇る小麦産地であり続けられるよう、気候変動に負けない技術の開発を目指します。

  • 起生期を迎えた小麦の写真

    現地ほ場は起生期を迎えています
    起生期:越冬後に茎葉の生長が始まる時期

  • 旺盛な分げつの小麦の写真

    10月初旬に播種したほ場では条間を覆い尽くす程に分げつが旺盛でした

場所:一関市舞川ほ場、撮影日:令和6年2月1日

(生産環境研究部土壌肥料研究室 専門研究員 佐々木 俊祐)

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